ヤクザ映画で実力のないチンピラが何かと言うと振り回すドスのように、トランプ大統領が何かと言うと振り回す関税。丁度一年前の2月25日のこのコラム(第905回)で「関税について詳しくは知らないのだが、トランプ大統領が勝手に決めているように行政の専権事項として設定の出来るものなのだろうか。」と疑問を呈したが、今頃になってようやくアメリカの最高位裁判所はトランプ関税が違法であるとの判決を出した。
学校で習ったのは、民主主義の基本は三権分立で、中でも最高の意思決定機関は国民の代表である国会・立法権であるという事だった。大統領や首相がトップを務める行政権は立法府が定めたルールの範囲内で、自らの判断で実際の政治を執り行う。そこには一定の裁量の余地があるとは言え、国会で決められたルールを逸脱してはいけないし、何か重要な事を行う場合には国会の了解を取らないといけない。
そこで思うのは、アメリカがベネズエラに侵攻したのは国会の承認が得られていたのだろうか、という疑問である。そんな事をしていたら相手に感づかれて、せっかくの計画が台無しになってしまうから、恐らくはしてないのだろう。それは違法ではないのか?
どこの国でも戦争を始める時は国会の承認が必要な筈だ。日本人を初め黄色人種が大嫌いだったルーズベルト大統領は、日本をやっつけたくて仕方なかったが、国会の承認が得られないため日本に戦争を仕掛ける事が出来なかった。だから真珠湾攻撃が行われた時は「やっとこれで(議会の承認が得られ)参戦できる」と大喜びしたという話がある。
このように国会の承認なしに他国に軍隊を差し向ける事は出来ない筈なのに、イランでもトランプ大統領は軍事攻撃をちらつかせ、ついに始めてしまった。アメリカ国民は何故黙っているのだろう。