先週は突然の休載、誠に申し訳ありませんでした。アップルの創業者、スティーブ・ジョブスが死を前にして語った言葉を御紹介したかったのですが、削りに削っても字数がこのコラムの9割がたの分量になってしまい、これでは著作権上不適格ではないかとの編集部の指摘があり、差し替えの時間もないまま、休載のやむなきに到った次第です。
幸せはお金では買えない、とはよく言われる事だが下手をすると富に縁のない人の負け惜しみにも聞こえる事がある。しかし、ジョブスが「富も名誉も本当の幸せとは無縁であった」と言うと、そのいずれでも頂点を極めた人ゆえに格別な説得力がある。そして彼は最後に「愛情こそが幸せを生む。周りの人を大切にして下さい」と。ネットで「スティーブ・ジョブス最後の言葉」で検索すると全文を見る事が出来るので、是非そちらを参照頂きたい。
イーロン・マスクやトランプ等の富への執着を見ると、一体何がそうさせるのだろうかという疑問が湧く。経済学者ケインズによると「金儲けとは活動力にあふれた人々がグレないようにするため社会全体が負担しなければならないコストである」そうだ。それにしてはエプスタインのようにグレる人もいるが。兎も角、活動力がないせいか金儲けにはとんと縁がないが、たとえ腐るほど金があったとしても「ピアノをもっと上手に弾けるようになりたい」とか「何とかガロア理論を理解したい」とかの欲望が富の力で実現する訳ではなさそうだから関係ないか。
不思議なのは仏典の世界が富にまみれている事だ。現代日本語訳法華経という本を期待して読んだ事がある。だが、そこに描かれているのは「黄金」とか「瑠璃」とか金ピカの世界で、非常な違和感を持ったものである。寺院の内装もそうだが、それは一体何を意味するか。新たな宿題を楽しむ事にしよう。