高校野球と言えばフェアプレイ、フェアプレイと言えば高校野球、そう言われて当然だと一般に信じられているし、関係者もそう自認している筈だ。しかし、実際はそうでもないらしい。先の夏の甲子園のある試合で、私は目を疑い、首を傾げた。
二塁にランナーがいる状況で、キャッチャーが絶好の牽制球を投げ、二塁手がタッチしたかに見えた。しかし判定はセーフ。二塁手はすぐさまベンチにビデオ判定をアピールし、監督がそれに応えた。ビデオを見ると明らかにタッチしている。審判の目からは死角に入っていたのだろうが、当の選手、ランナーは自分がタッチされた事ははっきり分かった筈だ。それ程明確な、グラブが折れ曲がる程の接触だった。
こんな場合、自分に有利な誤審を自分から訂正するというテニスでは当たり前の習慣が野球にはないらしい。もし、あの時二塁ランナーが自発的にアウトを認め、ビデオ判定するまでもありませんよと自己申告したら、チームメイトからは裏切り者扱いされたのだろうか。
ビデオ判定は当事者が判断できない場合(例えば内野ゴロで一塁に走り込んだ時、ベースを踏むのが早いか、ボールがミットに入るのが早いかなど)に意味があるのであって、当事者が真相を知っている場合はたとえ自分に不利であっても自己申告するのがフェアプレイだと思うのだが。実際テニスでは億単位の賞金が掛かっている試合でもそれが行われている。
ある人に聞いたら、高校野球ではタッチをしていない場合でも大声で「タッチ」と叫び、あたかもタッチしたかのような印象を醸し出すよう指導をしているらしい。地方大会ではビデオ判定の導入も少ないらしいからそんな時有効なのだろう。テニス愛好家の私からはちょっと信じられないような話だった。