2026年2月3日火曜日

異文化(続き)

「ソ」と「ン」の見分け方など考えた事もなかったので、その質問を受けた時は大変狼狽した。「シ」と「ツ」なら3本の線の頭が揃っているのが左か上かで判断できる。稀に第二画まで「ツ」のように書きながら、最後の第三画を下から跳ね上げて「シ」を書いた積りの人を見るが、あれは大変恥ずかしい事だ。小学校では「ソ」は第二画を上から書下ろし、「ン」は下から跳ね上げる、という教え方をするらしい。しかし活字特にゴシック体などではその区別は難しい。結局、どちらかといえば「リ」近いのが「ソ」で「ニ」に近いのが「ン」だ、最後は周りの雰囲気で判断するしかない、と答えるしかなかった。ある所で戦前の看板の写真を見て、そこに書かれている文字を最初は「ソバ」と読んだ。しかし他の文字が全て右から書かれているのを見て実はそれが「パン」であると知った。

「っ」に関して小学校では「詰まった感じを出す」という教え方をするらしい。日本の子供ならそれで理解できるだろうが、外国人に「詰まった感じ」と言っても恐らくチンプンカンプンであろう。私は相手がドイツ人だった事もあって「ich」を例に「イッヒ」と「イヒ」の違いだよ、と説明したが彼はポカンとしたままだった。恐らく両者の違いが聞き分けられないのだろう。「ヒットラー」と「ヒトラー」が同じに聞こえるように。

日本の小学生で「ソ」と「ン」の違いに悩んだり、「っ」の意味が分からなくて落ちこぼれた子がいるなんて聞いた事がない。それ程当り前の事が、異文化で育った外国人だと人並み以上の知性を持った人が理解に苦しんでいる。当然逆の事もあって彼等に当り前の事を我々が理解しないのを歯がゆく思っている事もあるだろう。

そういう理解の溝を不愉快に思うのか、寛容に受け入れ楽しむか、私は後者でいたいのだ。


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