2015年2月25日水曜日

政府の仕事

前回当欄で紹介したピケティ教授は「だれが立派かを決めるのは政府の仕事ではない」に続いて「政府は経済成長の回復に専念すべきだ」と述べている。だが、経済に口出しするのも政府の仕事ではない、という人達もいる。古典派経済学の立場を取る人達で、神の見えざる手を信頼し、政府による経済介入は最小限に抑えるべきだと主張する。かつてアメリカのフーバー大統領もこの立場を取り、世界大恐慌に対し積極的な対策を取らなかった。
今では流石に経済対策を政府の仕事ではないという人は少ないだろうが、政府の仕事がどんどん大きくなりお節介になっているような気がするのは私だけだろうか。一ヶ月前の新聞によると、トルコの保健相が出産を終えた母親を祝福し「女性は母親と言う男性にない役割を持っている。他のいかなる仕事も優先させず、次世代育成に専念すべきだ」と発言したのに対し「政治家が女性の生活スタイルに介入すべきでない」という批判がトルコ国内で噴出したそうだ。
日本の政府もこれに劣らずお節介だ。平成十四年に成立した健康増進法という法律を御存知だろうか。その第二条には国民の責務として「国民は、健康な生活習慣の重要性に対する関心と理解を深め、生涯にわたって、自らの健康状態を自覚するとともに、健康の増進に努めなければならない」とある。そりゃあ健康の大切さは十分過ぎるほど分かっているつもりだが、それを責務として押し付けられたら、余計なお世話でしょと言いたくなる。毎日一升の酒を欠かさなかった若山牧水なら何と言うだろうか。
ただでさえ借金で首が回らなくなりそうな昨今、政府には「借金をしてでもやらなきゃいけない事なのか」を考えて政策立案してもらいたいものだ。

ピケティ教授

パリ経済学校のトマ・ピケティ教授による「21世紀の資本」という本が売れているらしい。格差是正の必要性を説く教授の主張は民主党の方針にも合致するのだろう、民主党は盛んに教授にすり寄っているようだ。
世間で評判の高い教授の講義が見られるとあって、教育テレビの「パリ白熱教室」には大いに期待した。だが実際にそれを見て「あれっ?!」というのが正直な感想だった。いま一つ面白くない。マイケル・サンデル教授による初代白熱教室とは比べるべくもない。やたらに沢山のデータが出てきて、それの解釈が主な内容で、演繹的な思索や理論性が少ないからだろうか。
中には疑問に思う内容もある。例えば「下位50%の生涯労働所得(平均)以上の遺産を相続する人の割合」というグラフが出てくる。つまり貧しい人が一生かかって得る収入総額以上の資産を相続する人が全体の何割いるか、という事だが、そのデータが一七九〇年から十年ごとにプロットされている。一七九〇年といえば日本で言えば田沼意次が死んだ頃の話だ。そんな時代に凡そ全世帯の収入や遺産の大きさが把握されていたのだろうか?
ピケティ教授は過去の納税記録をつぶさに調べて前述の本を著したとの事だ。しかし先日NHKの番組では資産課税は無理だとの批判に対して「百年前は所得税を課すことは無理だと言われていたが、今や所得税は当たり前になった。資産課税だって同じだ。」と発言していた。所得税が百年前になかったのなら、彼はどうやって当時の所得を把握したのか?
教授の理論を眉に唾をしているこの頃だが、賞賛したいこともある。それはフランス政府からの勲章を辞退したという事だ。教授曰く「だれが立派かを決めるのは政府の仕事ではない」と。これには大いに拍手!!

2015年2月21日土曜日

過去の記録

過去の記録は下記を参照下さい。
http://mtamaki0123.blog.so-net.ne.jp/

はじまり

2015年2月21日 Googleにブログ機能のある事を知り、始める。
過去のコラムは下記を参照下さい
 http://mtamaki0123.blog.so-net.ne.jp/