前回当欄で紹介したピケティ教授は「だれが立派かを決めるのは政府の仕事ではない」に続いて「政府は経済成長の回復に専念すべきだ」と述べている。だが、経済に口出しするのも政府の仕事ではない、という人達もいる。古典派経済学の立場を取る人達で、神の見えざる手を信頼し、政府による経済介入は最小限に抑えるべきだと主張する。かつてアメリカのフーバー大統領もこの立場を取り、世界大恐慌に対し積極的な対策を取らなかった。
今では流石に経済対策を政府の仕事ではないという人は少ないだろうが、政府の仕事がどんどん大きくなりお節介になっているような気がするのは私だけだろうか。一ヶ月前の新聞によると、トルコの保健相が出産を終えた母親を祝福し「女性は母親と言う男性にない役割を持っている。他のいかなる仕事も優先させず、次世代育成に専念すべきだ」と発言したのに対し「政治家が女性の生活スタイルに介入すべきでない」という批判がトルコ国内で噴出したそうだ。
日本の政府もこれに劣らずお節介だ。平成十四年に成立した健康増進法という法律を御存知だろうか。その第二条には国民の責務として「国民は、健康な生活習慣の重要性に対する関心と理解を深め、生涯にわたって、自らの健康状態を自覚するとともに、健康の増進に努めなければならない」とある。そりゃあ健康の大切さは十分過ぎるほど分かっているつもりだが、それを責務として押し付けられたら、余計なお世話でしょと言いたくなる。毎日一升の酒を欠かさなかった若山牧水なら何と言うだろうか。
ただでさえ借金で首が回らなくなりそうな昨今、政府には「借金をしてでもやらなきゃいけない事なのか」を考えて政策立案してもらいたいものだ。
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