2015年2月25日水曜日

ピケティ教授

パリ経済学校のトマ・ピケティ教授による「21世紀の資本」という本が売れているらしい。格差是正の必要性を説く教授の主張は民主党の方針にも合致するのだろう、民主党は盛んに教授にすり寄っているようだ。
世間で評判の高い教授の講義が見られるとあって、教育テレビの「パリ白熱教室」には大いに期待した。だが実際にそれを見て「あれっ?!」というのが正直な感想だった。いま一つ面白くない。マイケル・サンデル教授による初代白熱教室とは比べるべくもない。やたらに沢山のデータが出てきて、それの解釈が主な内容で、演繹的な思索や理論性が少ないからだろうか。
中には疑問に思う内容もある。例えば「下位50%の生涯労働所得(平均)以上の遺産を相続する人の割合」というグラフが出てくる。つまり貧しい人が一生かかって得る収入総額以上の資産を相続する人が全体の何割いるか、という事だが、そのデータが一七九〇年から十年ごとにプロットされている。一七九〇年といえば日本で言えば田沼意次が死んだ頃の話だ。そんな時代に凡そ全世帯の収入や遺産の大きさが把握されていたのだろうか?
ピケティ教授は過去の納税記録をつぶさに調べて前述の本を著したとの事だ。しかし先日NHKの番組では資産課税は無理だとの批判に対して「百年前は所得税を課すことは無理だと言われていたが、今や所得税は当たり前になった。資産課税だって同じだ。」と発言していた。所得税が百年前になかったのなら、彼はどうやって当時の所得を把握したのか?
教授の理論を眉に唾をしているこの頃だが、賞賛したいこともある。それはフランス政府からの勲章を辞退したという事だ。教授曰く「だれが立派かを決めるのは政府の仕事ではない」と。これには大いに拍手!!

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