高市新内閣が始動した。その積極財政の姿勢を市場は好感を持って受け入れたようで、世の中に活気が出て来る事を期待したいが、閣僚の声を聞くと若干の懸念も湧いて来る。
新しく農水大臣になった鈴木氏は生え抜きの農水族との事だが、彼の主要関心事が国民の利益にあるのか農業団体の利益にあるのか心配だ。新聞で報じられる彼の発言を見ていると、昨今の米価は妥当だと思っておられるようだ。「大量の生産を増やせば米価は下がる(から困る)」とか「備蓄米は量が足りない時は出すが、足りていれば出さない」とか。米の価格は市場に任せ、政府は介入しないとの方針は誠にご立派だが、では国際的にみて日本の米価が極めて高いのはどう思っておられるか。昨今豪州米や加州米までが高く売られているのを見ると市場の歪みも感じる。そもそも市場に米が足りているか否かをどう判断しようというのか。価格高騰こそ米が足りていないとの市場の警告ではないのか。日本の農業を守るのも大事だが、国民生活も守って欲しい。
軍拡基調も心配だ。今まで集団的自衛権の行使など公明党がブレーキ役になっていたが、それがなくなりイケイケドンドンになっている。小泉防衛大臣は「昨今近隣諸国との関係が危なくなって来たから国防予算を増やす」というような事を言っていたが、そんな事態を招いたのは政治家が外交努力を怠ったからではないのか。不粋な武器に頼らずに巧みな外交で諸国と渡り合い知恵で国を守る事こそ政治家の一番の仕事だろう。アメリカからの要求で仕方なく武器を買わなければならない事情も分からなくはないが、まず軍拡ありきは止めて欲しい。ヒトラーは軍需産業起点で経済を浮揚させ、国民の支持を獲得して行ったが、私は戦争するくらいなら不景気なままでいた方が良い。