財務大臣が軽減税率の導入を「面倒くさい」と仰る。思わず我が耳を疑ってしまう。
財務省の役人の気持ちを代弁しての事だろうか。そもそも財務大臣は財務省という会社の社長に相当する。社員が面倒くさいと思っている事を社長が代弁して顧客に向かって発言したらどうなるのだろう。例えば建設会社の社長が「構造計算は面倒くさいんですよ」と言ったら?確かに構造計算は面倒くさい。一つ一つの部屋の使い方に応じた荷重を算定して、地震の時はどんな力がかかるか、台風の時はどうか、多雪地帯なら大雪の荷重はどの程度になるのかを全て計算して、それに耐えるだけの強度をもった部材を設計していく。それらの作業が面倒くさいから経験値と目分量で柱の太さを決めました、という社長がいたらその会社に建物を発注する人がいるだろうか。財務省に競争原理のない事が問題だが、それについてはまた別の機会に。
大臣の役割は役人の声を代弁する事でなく、国民の声を背景に役人を指導監督し、時には叱咤する事ではないか。かつて役人を敵に回して失敗した大臣もいた。当然両者に信頼関係は必要だ。社員を信頼しない社長がいたらその会社はいずれ駄目になるだろう。しかし信頼関係と甘えの構図は別問題のはず。信頼関係があればこそ叱咤激励もできようというものだ。
同じ日の新聞の読者投書欄にゴミ置き場のカラス対策についての投書があった。生ゴミを牛乳パックに入れたり、袋を二重にしたりしてカラスがゴミをつつけない工夫を見て「ちょっと面倒くさいけど私も工夫してゴミを出すようになった。」と結んである。
面倒くささに負けそうになったら、細部まで手を抜かずに緻密に描く画風の山口晃の作品でも見て、再度自分を奮い立たせるのも一つの方法だろう。
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