元スポーツ選手の芸能人が覚醒剤疑惑で捕まったかと思えば、どこかの町会議員が同じく覚醒剤疑惑で逮捕された。芸能人の不倫が騒動されると今度は国会議員の不倫騒動が持ち上がった。芸能人と議員とは似た者同士なのだろうか。
確かにどちらもそれなりに野心がないとなれない職業だし、自己顕示欲は旺盛で自負も自信もある人達だ。不倫も覚醒剤も小心者にはなかなか手が出せない。勿論スキャンダルを提供する人は極わずかで、少ない例外で全体を判断する愚は気を付けないといけないが。
ところで不倫という言葉、昔は浮気という言葉が一般的だったような気がする。日本国語大辞典を見ると「不倫」は一九〇三年の国木田独歩の「正直者」という作品が初見で、「浮気」は十七世紀頃から使われていた言葉らしい。その他和語では「みそかごと」という言葉が十二世紀前半に成立した大鏡に見られるとか。いずれも「男女がひそかに情を通じ合うこと」と言った解説がある。
「情を通ず」の項を調べるとすぐそばに「情が通う」という見出しがあって「相手に接しているうちに愛情や親しみを持つようになる」という解説がある。「情を通わす」のと「情が通う」とはエライ違いのようだ。
北原白秋と俊子の場合はおそらく「情が通う」ケースだったのだろうが、もし今のマスコミが二人の事件を嗅ぎ付けたらやはり興味本位に書き立てるのだろうか。
それにしてもどの事件も当事者の私信が当たり前のように暴露されるのには驚く。刑法第百三十三条には信書開封の罪というのがあって「正当な理由がないのに、封をしてある信書を開けた者は一年以下の懲役云々」となっている。保護法益を考えればメールの暴露も同罪と思うのだが・・・
なんて事を徒然なるままに思い巡らす昨今ではある。