先月二十八日の夕刊、「人工知能が囲碁プロ破る」という記事が目に止まった。中国出身のプロ棋士(二段)と五回対戦し全勝したというから本物だ。
チェスは1997年にコンピュータが世界チャンピオンを負かし、将棋では2012年にプロが負けた。将棋の名人がコンピュータと対戦しないのはいたずらに時間稼ぎをしているだけに見えるがどうか。記事によると今年三月には韓国のイ・セドル九段と対戦する予定だそうだ。イ・セドル九段は私の見るところ現在世界最強の棋士だ。この対戦は見逃せない。
さて、ゲームの複雑さを表す場合の数はチェスが10の120乗、将棋が10の226乗、囲碁が10の360乗なのだそうだ。ピンと来ないかも知れないが、万、億、兆、京と位が上がって一番大きな無量大数という位が10の68乗にしか過ぎないから文字通り数え切れない数字だ。数字的にはチェスと将棋を掛け合わせたものより囲碁の方が難しいのだから記事に「予想より十年早く」と付記されていたのも頷ける。
年末十二月三十日には「AI芸術、著作権は?」と題して、人工知能が作り出した芸術作品の著作権の扱いに関する記事があり、人工知能が作った小説(ショートショート)が載っていた。星新一の作品を読ませ、特徴を学習させて作ったのだそうだ。流石にトルストイやドストエフスキーの小説を学習させるのは無理なのだろう。でも不思議なのはこの研究者がAIに小説を書かせようとした事で、どうして俳句や短歌ではなかったのか。
ともかく、いくら囲碁が強くてもそのソフトは五目並べは出来まい。機械の知能とはそんなものだ。そして何より「意識」がない。意識とは何か、意識の起源は科学界の大命題。まだまだ人類の知的好奇心が退屈することはなさそうだ。
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