2016年7月12日火曜日

権利か義務か

投票権が十八歳まで引き下げられた。投票権と言うぐらいだから権利だと思っていたが、ある国では投票は国民の義務であるとして、投票しなかった人に罰金を課す場合もあるとか。権利か義務かに関して面白い事象に出くわした事がある。
市内の体育館へ行った時たまたま町内対抗のバレーボールをやっていた。パスもままならない初心者の集まりで、サーブをレシーブしたのはいいが、自陣でボールを回している間にどんどんボールコントロールを失い結局ミスして失点してしまうケースが多く見られた。三回パスをして良いと言うのは、その間にボールを支配してより攻撃的に相手陣に打ち込むために認められた権利であって、必ずしも義務ではないのだから、技量が十分にない場合はボールコントロールを失わない内に出来るだけ早く相手陣にボールを返した方が勝利への近道ではないかと思われた。
権利を主張するには一定の能力の裏付けが必要と思われる。それがないままに義務感に駆られて権利を行使すると思わしくない結果を招く事があるようだ。英国のEU離脱もその一例に見える。事態をよく理解しないまま、義務的に投票権を行使して今頃悔やんでいる人が多数いるようだ。残留か離脱かの二者択一の他に「よく分からない」「情報と理解が不十分なので権利行使を留保したい」という選択肢があれば事態はもっと違っていたのでは。
一般に国民投票においては白か黒かを迫るのではなく、権利を放棄する自由を与えて、その第三の立場が多数を占めた場合は現状への不満が左程大きいわけでないのだから継続性重視の観点から現状を変更しない、という配慮が必要なのではないか。権利の行使を義務化する事には一抹の危惧を感じる。勿論その場合も「放棄する」という意思表示は必要であるが。

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