2016年8月9日火曜日

愚行権

愚行権という言葉があるらしい。文字通り愚行を行う権利で、ウィキペディアによると「たとえ他の人から『愚かでつむじ曲りの過ちだ』と評価・判断される行為であっても、個人の領域に関する限り邪魔されない自由のこと」。続いて「生命や身体など自分の所有に帰するものは、他者への危害を引き起こさない限りで、たとえその決定の内容が理性的に見て愚行と見なされようとも、対応能力をもつ成人の自己決定に委ねられるべきである、とする主張である。」とも。喫煙や飲酒は明らかに一種の自傷行為であり、謂わば愚行の範疇に入るが、それが禁止されるとアメリカの禁酒法のような不具合も生じる。
スポーツにおけるドーピングに愚行権は主張できないのだろうか。英語辞書でdopeを引くと、まず名詞で「マリファナなどの違法薬物」とあり、次に動詞で「能力向上のために違法薬物を投与すること」という説明がある。が、スポーツの場合マリファナやコカインのような常習性の強い麻薬ではなく、なんらかの覚醒作用や筋力増強作用のある薬物を使うことだろう。犯罪や反社会的行為につながらず他者に害を及ぼさない範囲でなら、仮に命を縮めてもいいから短期的に強靭な肉体を手に入れたいという人が出てきてもおかしくない。
勿論それを使用した人としない人が同じ土俵で競うのは公平とは言えないから別の場を設ける。これから先は半分冗談だが、オリンピック、パラリンピックとは別にドーピンピックというのを作って、そこで薬物を使用した人に思い切り競ってもらったらどうか。そこに出場する選手は皆短命だが、百メートルが八秒台で争われるかも知れない。そうなったらオリンピックを見る人がいなくなるかも知れないから、やっぱりドーピングは駄目かな。

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