オリンピック、パラリンピックが終わって各国の獲得メダル数を新聞で見てあるお遊びを思いついた。各国のメダル獲得数の偏りを数値化するためにジニ係数を計算してみようという事だ。
ジニ係数とは所得の偏りを表現するために用いられる指標で、完全に平等な社会はゼロ、一人に富が集中しているという極端な場合を1として、数が大きいほど格差が大きいことを示す。一般には0.3から0.4程度が適度な競争と格差のある社会とされ、0.4を越えると社会不安を引き起こす警戒ライン、0.5以上となると暴動の恐れのある危険ラインとされる。
オリンピックには全部で二百五の国(と地域)が参加し(難民選手団を入れると二百六)、内一つでもメダルを取った国は八十七、百十九の国は一つのメダルも取れなかった。パラリンピックにおいてもほぼ同様の傾向が見られた。いわば半数以上の人が所得ゼロ、トップの人に富の10%が集中するようなモデルになる訳で、実際にジニ係数を計算したら0.85以上になった。大変な偏りだ。
ついでの世界各国のGDPのデータを元にジニ係数を計算したらほぼ同様の値となった。GDPの大きさと獲得メダル数にはかなり強い相関がある。変わったところではインドがGDPでは世界七位なのに、獲得メダル数は五十位以下なのが目立つ。旧共産圏やアフリカ諸国がGDPの割にはメダル数が多く、中国以外のアジアはGDPの割にはメダルが少ない。
それにしてもパラリンピックにおける中国のメダル獲得数の多さには驚いた。彼の国が障害を持つ人達に優しい社会であるという印象はないのだが。オリンピックはともかく、もしパラリンピックが国威発揚のために利用されているとしたらとんだ本末転倒というべきだろう。