2016年9月20日火曜日

車窓

エジンバラからロンドンまでグレートブリテン島の半分を縦断して車窓を眺めた印象を記す。
地図を見ても分かる通りイギリスには左程高い山はない。車窓からの風景は延々となだらかな丘陵が続いており、そのほとんどが牧草地だ。ごく稀にトウモロコシ畑や麦畑を見たがほとんどは牧草地に羊や牛が放し飼いされている。
日本ならどうだろうか。遠くに高い山が見えるが、手前の景色は住宅地を除けば青々とした水田が大部分だとの印象を持つだろう。
牧草地や畑と水田の違いは何か。水田は水を張るから平らにならさないといけない、という点が一番の違いだろう。人間が農耕を始める前の大地はおそらく平らではなく、今のイギリスの風景に近かったはずだ。日本人は長い時間を掛けて大地を平らにならし、水を張って稲を栽培できるように改善したのだ。古代の日本にタイムスリップしてバス旅行をしたら、小高い丘や藪が散在する中ところどころに水田があるという感じだったのではないか。奈良時代の三世一身の法や墾田永年私財法がなければひょっとしたらその風景がそのまま残ったかも知れないのだ。
道路の制限速度も面白かった。高速道路は70、田舎の町の住宅街は「Slow down 30」とあった。日本と同じくらいだと思ってはいけない。イギリスの時速はマイル単位で、キロメートルにするためには1.6倍しないといけないから高速は110km、住宅街は50km程度になる。
日本は概して制限が厳しい。その理由を理解したのは冬の北陸をドライブした時だった。横殴りの雪に視界が開けず制限速度内で走るのが精一杯だった。日本の制限速度は悪天候を想定して決められており、好天で見通しが良い時には物足りなくなってしまうのだと思った。イギリス人はこの点どう考えるのだろうか。

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