2016年12月20日火曜日

嘉納治五郎

日露の首脳会談、成功だったと言えるのか言えないのか。二島でも返還の兆しが見えたなら成功だと言うのなら今回は残念ながら失敗というしかない。
しかしそもそも北方領土の問題に関し、日本側はもっとやる事があるのではないか。返してもらうためにはこちらとしてもそれなりの努力や工夫をする必要があろう。無人島ならともかく現に住んでいる人がいる以上、その人達をどうするのか現実的対策を用意しなければ事態が前に進まない。今の住まいを保証するのか、日本国内に別に住む場所を提供するのか。また米国に向けて北方領土には米軍を配備しないという特約を取るとか、そうした努力が水面下で行われているのかどうか知らないが、報道を見る限りでは今の日本の姿勢は棚を見上げて「ぼた餅よ落ちてくれ」と願っているような感じに見える。
さてプーチン大統領が尊敬する日本人は誰かと問われて「もちろん嘉納治五郎だ」と答えたらしい。柔道を得意とする人らしい答えだが、その名前を聞いてかつて「嘉納杯」という柔道の大会があったはずだと思った。それに優勝する事が柔道家にとって最高の栄誉であったはずだがそれは今どうなったのだろうか。
例えばテニス選手にウィンブルドンで優勝する事とオリンピックで金メダルを取る事とどちらを望むかと問えば、多くの選手が前者を選ぶだろう。歴史と伝統を背景とした権威を守ってきた結果だ。片方で柔道では嘉納杯は忘れられ今やオリンピックで金メダルを取る事が柔道家の最大の夢であるかのような状況になっている。

嘉納治五郎は柔道の国際化に腐心したと伝えられるが、このような状況は彼の望む所だったのか。嘉納杯をオープン化し全世界の柔道選手が嘉納杯を目指して精進する姿こそあるべき姿だったのではないだろうか。

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