アパホテルに泊まってみた。予想に反してロビーは中国人であふれていた。仲間同士が大勢で遠慮もなく大声で話す様には流石に閉口するが、偏見を戒める光景もある。フロントで夫婦としき温和な顔立ちの高齢の二人が人民元を円通貨に交換し最後にはThank youと笑顔で丁寧に挨拶していた。ごく普通の一般的中国人の姿がおそらくそこにある。
部屋には話題の本、「誇れる祖国 日本復活への提言 本当の日本の歴史 理論近現代史学」が置いてあった。当然中国人が宿泊した部屋にもおいてあったはずだ。この本、右開きの縦書き本としては日本語で、ひっくり返して左開きの横書き本としては英語で書かれて、中国語の記述はないから特別に報道に接しない限り中国人が気にする事はないではないか。テレビで大騒ぎになっているのは例によって自虐史観左翼による御注進か、単なる過大報道か。
本をパラパラめくってみると出版の趣旨が「そこで私は『理論近現代史学』すなわち近現代史を、真実の断片を集めて整合性が採れ、ありうる話かあり得ない話かという観点から、理詰めで検証していくことを提唱したい」であり、具体的証言や物証から考慮すると「張作霖爆殺事件はソ連特務機関の犯行である」、「南京大虐殺は中国側のでっちあげだ」、「ハルノートを日本に提示した時点で開戦は決定的だった」などが主張されている。こんな事を言われたら中国人として文句の一つも言いたくなる気持ちも分かる。
日本の近現代史と言えば私が一番信頼しているのは東大の加藤陽子という先生で、今その著書「それでも日本人は『戦争』を選んだ」を読んでいる。日清戦争から始まって太平洋戦争まで、当時の軍人の日記などを紹介しながら冷静に世相が分析してある。機会があれば内容をいずれ当欄で紹介したい。