2017年1月17日火曜日

This is a pen

This is a pen. を正確に日本語に訳すことが出来るか。そんなの簡単だ、「これはペンです」だろう、と思われた貴方、では「これはペンだ」や「これはペンよ」ではいけないのだろうか。「これはペンです」なら言う側と聞く側の立場が対等か、いくらか後者の方が高い印象があり、「これはペンだ」だとその逆の印象を持つ。このように日本語では情報を発信する側と受信する側の関係が表現に影響し、どうしてもその立場の関係を排除した言い方が出来ない。逆に少ない言葉の中に両者の関係を暗示できる優れた側面があるとも言えるのだが。
トランプ大統領の会見の様子を報じる新聞を読んで改めてそれを感じた。CNNの記者とのやりとりを再現した記事はこのように書かれている。
トランプ氏「お前じゃない」記者「質問する機会をいただけないでしょうか」トランプ氏「お前の会社は最悪だ」記者「我が社を批判するなら、質問する機会を下さい」トランプ氏「静かにしろ」記者「次期大統領、どうか」トランプ氏「彼が質問している。無礼な態度を取るな」云々
トランプ氏を非道な悪役にして報道関係者をそれと対決する正義の味方として訳すと上記の表現になるのだろう。もし逆の価値観で訳したらどうか
トランプ氏「君ではありません」記者「質問する機会をくれと言ってるんだ」トランプ氏「君の会社は最悪です」記者「我が社を批判するなら、質問させろ」トランプ氏「静かにして下さい」記者「次期大統領、おい」トランプ氏「彼が質問しています。無礼な態度はいけませんよ」云々
英語でも敬語に相当するものはあって、出来るだけ長い文章を使うのだそうだが、あの緊迫した場面でその余裕はなかったろう。マスコミの誘導的意訳にごまかされないためにも原語を意識してニュースに接したい。

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