2017年6月6日火曜日

歪み

五百八回の当コラムで「気骨のある役人はいないのか」と書いたが、そういう人が出てきた。文科省の前事務次官の前川さん。テレビや新聞の情報を見る限り周りの人からの評判はなかなか良い人のように見える。官邸や内閣府の言う事を聞かないから更迭の口実に天下り問題を暴露されたのが本当のところではないか。
それにしても日々の私生活を監視下に置かれるなんて、偉くなると辛いものだなあ。確かに高官が他国のスパイなどと会っていたりしたら困るから一定の監視は必要なのだろうが。でも出会い系バーに出入りしていたことだけを捕らえて人格攻撃をするのは如何なものか。ああいう場所に出入りする人はいやらしい動機でしか行かないと決め付けるのは、そう思う側の心の卑しさを表しているに過ぎない(官房長官も私も含めて。また週刊新潮に「助平だから行ったのですと正直に言うべきだ」と書いた藤原正彦氏も含めて)。本当に前川さんが調査目的で行ったのか検証するために週刊文春は彼と会っていたという女性の証言を取っていた。彼女以外にも会っていた人はいるのだろうからそれが全てではないのだろうが。
歪みの本当の原因は行政が過度に民間事業に介入することにあると思う。世の中に獣医師が足りているかどうかは、獣医師になりたい人が判断すれば良い事だ。なりたいと思う人が多いかどうかを見て学校法人が獣医学部の創設をするかどうか判断すれば良い。それで経営が成り立つかどうかは法人の自己責任でやれば良い事で、国が規制したり助成したりするから変な利権が生まれ、歪みが生じる。
官が行うべきは法人の経営の実態を正確に監査調査し、公平公正に公表する事により法人と消費者(この場合入学を希望する学生)の間の情報の非対称性をなくすだけでいいと思うが如何。

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