2017年9月26日火曜日

生活インフラ

生活の本拠地を関東に置いて、年に何回か十日前後生まれ故郷に帰るという生活をしていると生活インフラの有難味をしみじみ感じる。電気・ガス・水道、それに最近ではインターネットが加わった。問題はこれら全てがその地でずっと住むことを前提に制度設計されており、年に数回数週間の滞在に対応するという事が全く念頭にない事だ。
ガスは長い間使わないと配管が劣化してガス漏れの恐れがあるというので諦めた。エネルギー源を電気に絞ったのだが、契約がややこしい。電力会社はオール電化の家庭に対して夜間電力を割安にしたプランを標準としているらしい。だがその契約だと基本料金が高いため普段電気を使わない人にとっては支払いが多くなってしまう。オール電化ではあっても敢えて一般の契約にしたいと個別に電力会社に申し入れていたのにも拘わらず、電力会社ではメーターの取付工事を行った業者の申告を取り入れてオール電化プランを適用してしまった。それに気付くまでの数ヶ月高い電気料金を支払わされる羽目になったが、これも年に数週間の滞在が念頭にないからだろうと諦めざるを得なかった。
インターネットに関してはスマホのテザリング機能で問題を解決したと思っていた。しかし今回の帰省ではWINDOWSが勝手に更新プログラムを走らせてパケットの月間の上限をあっと言う間に越えてしまった。マイクロソフトへの恨み骨髄!次回の帰省からはWINDOWSは使わない。
唯一水道は当局がこまめに開栓閉栓に対応してくれるのでありがたい。そういえば昭和の初めの生まれの私の母は人生で一番嬉しかったのは家に水道がついた事だったと話していた。その母が冬も冷たい水で茶碗を洗っていた事を思い出すと私も茶碗洗いに温水を使う気になれない。

2017年9月19日火曜日

OBJECT

平田にOBJECTというスタジオがある。私の同級生である浜君がやっている。六年前自らの練習用に開設し、今は地元の愛好家に貸したりしている。出雲が誇る優れたトランペット奏者熱田修二君と浜君が従兄弟だそうで、その縁で月に一回熱田君を囲んでそのスタジオで音楽を楽しむ会が催される。題して「Jazzで遊ぶ会:Jazzっていいなあ。拡げようJazz仲間」。第一部は熱田君がピアノを担当するトリオの演奏、第二部は地元の音楽愛好家が自慢の腕を披露するという趣向である。
私も去年の十一月に初めて行って、生のジャズ演奏を楽しんだ。平田という田舎でこれだけ質の高いジャズを楽しめるのは幸せな事だと思う。企画した浜君に拍手を送りたい。またここは思わぬ出会いの場ともなっている。中学の同級生と何十年ぶりに会ったり、偶々居合わせた人が高校の同級生だと分かったり。
熱田君と久しぶりの再会を果たし、ジャズピアノを教えて貰う事にした。練習の甲斐あって今年七月の集まりでは不肖私めも未熟なピアノを二曲披露させて頂いた。最初の曲はベートーベンのピアノソナタ「悲愴」。勿論初心者向けにアレンジしたものだが結構雰囲気は出ている。次はジャズの定番、聖者の行進。スローなテンポで始めて、途中アップテンポにした時、会場から唱和するように手拍子が沸き起こった時は本当に嬉しかった。
この会で演奏するためピアノの練習をそれまで毎日朝やっていたのを、夜お酒を飲んでからに変えた。アルコールが入った状態でも弾けないといけないから。
この会は毎月第三火曜日午後七時から行われる。機会があれば足を運んでみて欲しい。今日、九月十九日はまさにその集まりのある日だ。私は二回目の出演を狙っている。

2017年9月12日火曜日

少年A

神戸の児童連続殺傷事件の犯人酒鬼薔薇聖斗、少年Aに関する本を二冊読んでみた。一つは彼自身が書いて話題になった「絶歌」。もう一つは彼の両親の手記「少年A この子を生んで・・・」という本だ。
前者は奥付を見ると二〇一五年六月二十八日初版とある。もう二年も前の出版なのだ。当時週刊誌で話題になって、読んでみたいと図書館に予約を入れて順番待ちをしたが、二年経ってようやく順番が回ってきた。出版当初はこの本を出す事自体許されないという論調が多かった。公立図書館も購入を躊躇ったのであろう、私が良く行く図書館では唯一豊島区立図書館が一冊だけ用意した。千代田区立図書館も埼玉県立図書館も今も置いてない。後者の方は一九九九年四月の初版。事件から二年後の出版という事になる。
被害者遺族の感情を配慮した積りなのか流石に淳君を殺害したシーンは描かれていないが、野良猫を虐殺する情景は、読んでいて気持ちが悪くなった。この時期同じ屋根の下に住んで両親は全く変化に気が付かなかったというが、そういうものなのだろうか。
逮捕後両親が本人に初めて面会するのは警察署から少年鑑別所に移ってからだが、母親の手記によると面会して最初に少年が発した言葉が「帰れ、ブタ野郎」だったと書かれている。少年は親には会いたくないという自分の意向を無視して鑑定人や家裁関係者が仕組んだ面会にいらだって、面会の最後に「はよ帰れやブタぁ!」と叫んだと言っている。
それにしてもネット情報のいい加減さには呆れてしまう。ネットには少年Aへの誹謗中傷があふれ、彼はのうのうと生きのび、彼が執筆した「絶歌」には、結婚して女の子が生まれたという記述がある、との書き込みがあるが、そんな事は実際には書いてない。ネット情報には要注意。

2017年9月5日火曜日

変な日本語

サッカーのW杯出場を賭けた対オーストラリア戦に勝って、ハリルホジッチ監督は「ありがとう ました」と挨拶した。テニスの全米オープンで三回戦出場を決めた大坂なおみ選手は片言の日本語で勝利を振り返った。もっとちゃんと日本語を勉強しろよ、と批難する向きもあるようだが、私はどうしてなかなかたいしたもんだと思っている。
変な日本語、違和感のある日本語というのは日本語の国際化の中で避けられない現象なのだと思う。いつだったか日本女子オープンゴルフ大会で韓国人選手が優勝し、その優勝インタビューで「私はうれしいです。」と発言しているのを聞いて違和感を禁じえなかった。普通なら単に「うれしいです」であってわざわざ「私は」というのは日本語として自然な感じがしない。だいぶ前だが青森産の米「青天の霹靂」が特Aの評価を勝ち取った時、青森県の三村知事は「やりました。うれしいです。」と喜んだ。主語を言わない。これが自然な日本語と言うものだ。
国際化が進む中で変な日本語が次第に主流になっていくのは寂しくも悲しくもある一方で世界への広がりを喜ぶべきかも知れない。
例えば「あなたは日本人ですか」という表現をどう思われるだろう。専門家に言わせればそれは日本語ではない、正しく言うなら「失礼ですが日本の方ですか」であるべきだと。
スマホの翻訳アプリにVoiceTraというのがある。国立研究開発法人情報通信研究機構が研究目的で提供するもので無料で使う事ができる実によく出来たアプリだ。これで「I'm happy」とつぶやいたら「うれしいです」と主語なしで翻訳された。「Are you
Japanese」は残念ながら「あなたは日本人ですか」だったが機械にそこまでを要求するのは無理というものか。
前回のカミングアウトが思わぬ反響を呼び、社会の公器たる新聞は情報の正確性に敏感であるべしとのご批判を頂いた。熱心にお読み頂いている証左として身の引き締まる思いがした。もし不愉快な思いをされたのならお詫び申し上げ、今回より肩書き表記を改めたい。今後とも当新聞ならびに当コラムを変わらずご愛読頂く様お願い致します。