2020年8月18日火曜日

出会い

 人生とは出会いである、と誰かが言ったかどうか知らないが、兎も角、毎日出会いを求めて生きている、そんな気がする。人との出会いは勿論の事、本との出会い、映画との出会い、絵画や音楽、芸術との出会い、散歩途中の小さな発見との出会い、等々。

前々回にご紹介した「ドイツにヒトラーがいたとき」篠原正瑛著との出会いも記録に残しておきたい出来事だった。きっかけは「ひろしま」という映画を見た事だ。原爆の悲劇を描いた作品で、1953年製作とあるからまだ戦争の記憶が生々しい頃のものだ。始まる前にオリバー・ストーンの推薦の言葉があって、彼は「とてもポエティックだ」と言うがしかし当然ながらとても悲惨な描写もあり、それは如何なものかと思うし、子供に見せるにしても一定の年齢に達してからにしたいと思う内容だった。

その中で高校の授業である生徒が「僕らはごめんだ(東西ドイツの青年からの手紙)」という本を読み上げるシーンがあった。アメリカが原爆で何十万もの無辜の市民を殺害したことに抗議する文だ。目を凝らして良く見ると著者は篠原正瑛とある。映画を見終えてから早速ネットで検索をかけてみた。

すると「僕らはごめんだ」は見つからなかったが、他に県立図書館に蔵書があったのが「ドイツにヒトラーがいたとき」だった。早速借りて読み始め、これは手元に置いておきたい本だとオンラインショップで買い求めた。

著者は上智大学でカント哲学を学ぶ学徒で、丁度ヒトラー政権の元、軍靴の響きが高くなる頃にドイツへ留学した。下宿に決めた家がたまたま何年か前東條英機が少佐の頃下宿した家で、そこの奥さんは東條の気さくな人柄に魅せられてどうしても日本人に下宿して貰いたいと願ったらしい。続きはまた別の機会に。

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