2024年5月14日火曜日

辛抱

 大河ドラマ「軍師官兵衛」は2014年の放映である。その撮影が行われたのは前の年の2013年だから、子役として出ていた今年20歳になる出演者は当時9歳だった事になる。

最近急に歴史に興味を持ちだした息子が借りて来た「軍師官兵衛」のDVDを視た。凶悪事件の実行犯として逮捕された若山耀人は官兵衛の幼少期を、そしてその子長政の幼少期を演じていた。科白もあれば、笑顔も作り泣き顔にもなる。かなりの演技力と見た。週刊誌報道によれば500人のオーディションを勝ち抜いたというから、それも当然だろう。

9歳で大河ドラマの準主役に抜擢されるというのは役者人生として順風満帆な出だし、いや誰もが羨む出だしと言って良い。それがたった10年でこうも暗転するものなのか。ネットで検索すると、彼は数多くのテレビドラマ・映画に出演し、最後の作品は2018年に発表されている。これだけ多くの出演依頼があれば、収入も相当あったろうし、年齢からしてお金の使い道も限られたものだった筈。僅かな金の誘惑で凶悪事件に関与しなければならない程お金に困ったのが不思議に思える。それともあまりに順調で恵まれた出だしに慢心が芽生え、かつての自分の栄光がまぶし過ぎて自暴自棄になったのか。

一生懸命努力しても成功を勝ち取れない人がいる一方で、折角のチャンスを棒に振ってしまう人がいる。成功への階段を踏み外す事なく登り続けるためには思っている以上に辛抱が必要なのだろう。それが出来た人が大河ドラマの主役になる。黒田官兵衛も豊臣秀吉も徳川家康もその人生は辛抱の連続だったに違いない。

若山耀人は今頃、荒木村重や明智光秀に自らをなぞらえて、どこで何を辛抱すれば良かったかを反省しているだろうか。

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