2025年5月20日火曜日

トランプ派

 富士山で遭難した人を救助するのに、現在は無料の救援活動を有料化しようという動きがあるそうだ。

遭難者の多くが危険性を軽視し十分な準備もなしに、謂わば自業自得のような形で難にあった人達で、中には一度は救助されながら反省する事なく何度も救援隊のお世話になる人もいるとか。しかもその可成りの部分が外国人であると聞くと、今まで無料であった事に呆れ、有料化は当然だろうと怒りにも似た気持ちになってくる。

そういう自分をフト覚めた目で見ると、今までさんざんトランプ大統領を批判して来たが、やっぱりお前もトランプ派ではないかと呟くもう一人の自分がいる。

トランプ氏を支持する人達の気持ちを理解したくて「ルポ トランプ王国―もう一つのアメリカを行く」(金成隆一著岩波新書)という本を読んでみた。そこに書かれているのはまさに無謀な富士山登山をして当り前のように無料で救援隊の世話になる外国人に怒りを向ける私と同じような人達の姿だった。

著者はアメリカのラストベルトと呼ばれる地域を取材し、その酒場にたむろする人達の話に耳を傾ける。かつてこの一帯の工場で働く労働者だった人達は労組の関係で当然のように民主党支持だったが今トランプ支持に変わっている。印象的だったのは次の発言だ。「かつて民主党は勤労者を世話する政党だった。ところが最近は勤労者から集めたカネを、本当は働けるのに働こうとしない連中に配る政党に変わった。」と。「働けるのに働こうとしない連中」は「出来る筈の遭難対策もしない奴」に重なる。

自分の責任を果たそうとしない奴を、しかも身内なら兎も角赤の他人をどこまで助けるべきなのか。不法移民や規則を守らない無謀な外人登山家にも、人道主義はやはり愛の手を差し伸べるべきなのだろうか。

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