2026年3月24日火曜日

ファースト・ネーム

 「刑事フォイル」という連続テレビ・ドラマがある。ロンドン郊外の小さな町、ヘイスティングスの警視正であるフォイルが事件を解決して行く。原題は直訳すると「フォイルの戦争」で物語の舞台は第二次大戦の最中に設定してある。

ある時、町に米軍がやってくる。同じ連合国で友軍の到来だが、その駐留は町の人には歓迎されず、中には妨害行為に及ぶ人すらいたりする。そうした当時の様子を伺い知る事が出来るのもこのドラマの魅力の一つだ。その米軍の中にイタリア系の名を持つお調子者の若い兵士がいて、彼は警視正付きの運転手サマンサ・スチュアートと恋仲になる。彼女はサマンサを略して通称サムと呼ばれている。

何度かデートを重ねた(そんな余裕があった事にも驚く)二人だが、ある日彼は自分のサムへの思いを警視正に打ち明け、理解を求めようとする。「サムと結婚して一緒にアメリカに帰りたい」と日本語の字幕には表記されるが、原語の科白は「ミス・スチュアートと・・」と言っている。ああ、こういうかしこまった場面ではお調子者のイタリア系でもかしこまった言い方をするのだなぁ、と思った。

さて、今回の日米会談で高市首相は「世界の平和と繁栄をもたらせるのはドナルドだけ」と言った。お互いをファースト・ネームで呼び合って親密さをアピールするのは結構な事だが、世界平和などという厳粛な話題でファースト・ネームを出すのはいささか場違いで敬意を欠くのではないのだろうか。

そう言えばかつてマリリン・モンローがケネディ大統領の誕生パーティの舞台で歌った時は「ハッピー・バースディ・ミスター・プレジデント」だった。恐らく肌を合わせた事のある二人、日頃はファースト・ネームで呼び合っていたに違いないが。

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