「世界は弱肉強食、万国公法(国際法)も大国に利あらば守られるが、大国に不利となれば武力に頼られる。私はこの状態に憤慨し、国力を強くし、大国と対等に外交しようと考えた。」
この言葉は誰のものでしょう。答えはドイツの鉄血宰相ビスマルク。1872年明治の遣欧使節団を前に演説した時のものだそうだ。当時ドイツは普仏戦争に勝利し、ようやく国内を統一した頃だ。これを聞いた岩倉や大久保は富国強兵の重要性を痛感し、西郷の征韓論は時期尚早だと大反対する事になる。
あれから150年以上の時が流れ、何度かの大戦争を経て、人間もいくらか賢くなって法の支配の重要性とかを身に沁みて思うようになったかと思っていたが、実態は何も変わっていないらしい。アメリカの大統領は「国際法なんてクソ食らえ」と公言して憚らないし、アメリカの経済制裁による物価高と外国からの干渉に苦しむイランは「直接的・間接的ないかなる攻撃にも断固とした相応の合法的対応をとる。すべての結果に対する責任は非合法的な行為を主導した者にある。外部勢力につながるテロリストが流入したことで平和的なデモが暴動に変わった。」となんとか法にすがり付こうとする。
麻薬を巡る動きにしても、アメリカはベネズエラ近郊まで出掛けて行って麻薬船と思われる小舟を攻撃し、乗組員共々海の藻屑にして威張っているが、あの船はベネズエラを出たばかりで行き先がアメリカと決まった訳ではないのではないか。150年以上前、イギリスが持ち込む麻薬(アヘン)に苦しんだ中国(当時は清)は、麻薬が自国の港に陸揚げされる瞬間を捕らえて、それを没収し廃棄した。どちらが理に適った行動か。実際には理に適った行動を取った筈の側が、戦争に負け、賠償金まで払わされている。
ああ、国際法よ。