テレビや新聞での報道を見ていると、時々とても不思議な事に出くわすが、報道を見る限りではそれに対する答えが提示される訳でもなく、そもそもその事が不思議な事であるとの認識すら無さそうで残念に思う事がある。
今月の初め、経済ニュースで生命保険各社が史上最高の利益を出した事が報じられた。具体的な利益額は忘れたが、そもそも生命保険のサービスを提供する組織が大きな利益を計上する事は倫理上許される事なのだろうか。保険とは本来互助的なもので、大きな損失や悲しみを互いに分散して分かち合おうというものだ。その中で一部の者が大きな利益を出すのはおかしな事で、そういう事のないように保険料が調整されるべきものだろう。それでなくとも生命保険会社は一等地に大きなビルを構え、社員は高給を食んでいる。どこかおかしくないか。
先月、五月の初めにはローマで教皇を選ぶ選挙があった。その選挙をコンクラーベと言うんだとか、選挙結果が煙の色で知らされるとか、興味本位な報道が沢山なされたが、そこで被選挙権を持つのが133人の枢機卿に限られ、しかもそれが全員男性である事の不思議に触れた報道はなかった。
今回のコンクラーベでは地域的な多様性が見られ、候補者はアジアやアフリカ、南米からの出身者もいる事は強調されたが、女性が含まれない事は話題にすらなかった。カトリックという組織を知らない私の無知の問題に過ぎないのかも知れないが、昨今女性の権利を重視する傾向からすると不思議な事だった。
14億人のトップを決める、という表現も不思議だった。仏教界ではトップの人は恐らくいない。イスラム教ならカリフという人がかつてはいたが今は多分いない。宗教の世界で人間に序列が出来ている違和感に言及した報道も全くなかった。