藤井四段の連勝が二十九でストップした。いずれは止まる連勝、もし二十六戦目に対戦した瀬川五段が勝っていれば、その瀬川五段に私は勝った事がある(勿論二枚落ちのハンディ戦であるが)事で自慢話の一つも出来たのだが。
それにしても藤井フィーバーは凄かった。東京都議会議員の選挙速報を途中で止めて将棋の勝ち負けをテレビが報じるなんて前代未聞の出来事ではないだろうか。局後のインタビューを受ける藤井四段の目はちょっと潤んでいるように見えた。
さて将棋で二十九連勝する事はどれほど大変な事か。プロとアマの差が大きいのは将棋と相撲の世界だと言われてきた。その相撲の世界では双葉山の六十九連勝という輝かしい記録がある。それと比較して藤井四段の二十九連勝はどうか。
勝敗を決めるのは実力の差と時の運がある。その両者の比重を比べた場合、将棋の方が相撲に比べて実力の差が寄与する割合が大きいように思えるがそうでもないようだ。将棋のトップの勝率は例えば羽生三冠の場合約七割、相撲の場合白鵬で約八割五分、双葉山の横綱時代の勝率が約八割八分だ。将棋の方が勝率が低いのはそれだけ偶然の要素が入り込む余地が大きいと言えそうだ。
さて、勝率八割八分の人が六十九連勝をする確率と、勝率七割の人が二十九連勝をする確率を比較すると後者の方が五倍難しい。つまり藤井四段の二十九連勝は双葉山の六十九連勝より五倍の価値がある、と言えそうだ。
それにしても藤井四段の活躍にあやかって老醜をさらけ出しているとしか思えないような人がシャシャリ出るのには我慢ならない。藤井四段の二十九連勝を報じる新聞の片隅に大内延介九段の訃報があった。大内九段ならもっと真摯なコメントが聞けただろう。合掌。
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