2018年4月17日火曜日

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二月十三日の当コラムをご記憶の方なら表題の文字を読めるはずだ。ロシア語で「イクラ」と読む。実はこれ、ロシア土産に買って帰ったキャビアの缶の上に書かれていた文字だ。これと並んで英語でCAVIARの文字がある。
こんな事を改めて持ち出したのは、実は先日都内で開かれていたある展示会で昔の駅弁のラベルを見たからである。函館線岩見沢駅で売られていたという駅弁の包み紙には「イクラ弁当」と大きな見出しがあって、折り返しの裏側に小さくイクラの説明がある。「ロシア語で本来は魚卵の意でありますが、鮭鱒の卵を塩蔵して食品としたもので、世界の珍味とされている「キャビア」(CABIA)(ママ)(チョウ鮫の卵)をまねたものであります。」と。
528日」とスランプが押してあるが、残念ながら年に関する情報がない。売価が二百円とあるのでそれから類推するしかなさそうだ。ともかく、この弁当が販売されていた頃日本人にとってまだイクラはそれほど一般的な食べ物ではなかったようだ。因みにロシアで買ったキャビアはほんの小さな缶に入って一万円もした。
同展示会では日本で初めての食堂車のメニューも紹介されていた。山陽鉄道が瀬戸内航路の汽船に対抗するため、明治三十二年に始めたものらしい。それを見ると西洋料理一人前の一等が七五銭、二等が五十銭、三等が三五銭、ビールはアサヒとキリンの大が二五銭、何故かサッポロの大は三五銭。金額の違いは量によるものなのか品質によるものなのか。ウィスキーは「ウスケ」と表記されて「壹本 金壹圓五十錢」となっている。
三江線が全線開通以来四十余年の歴史に幕を閉じた。何十年かの後、三江線にまつわる遺品を見て懐かしく思い出す日が来るのだろう。

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