2020年10月13日火曜日

学術会議

 

十月になって辺りには金木犀の甘い香りが満ちている。更に今年は夏が暑かったせいか百日紅が未だに花をつけている。美しい自然に中で人間世界はどうか。日本学術会議を巡っては右と左が大騒動。事は会員任命の問題から団体の存在価値そのものを問うまでになってきた。反対意見に謙虚に耳を傾けるべきは、学術会議とて同じはずだ。

北海道大学のある研究が軍事研究禁止の名目で槍玉に上がったらしい。「微細な泡で船底を覆い船の航行の抵抗を減らす研究」がどう軍事目的につながるのかよく分からないが、裏に醜い人間関係が透けて見えるのは私だけだろうか。こうした一刀両断の専制的とも思える対応は却って学問の自由を阻害するのではと思える。研究そのものでなくその悪用が制限されるべきだ、と言う意見もある。今世界の人々がその恩恵に浴しているインターネットだって米国国防総省の軍事利用のための先端技術の研究開発から生まれたARPANETが基になっている。

会に投じられる10億円の予算の多寡も議論の対象となっている。個人的には民主党政権下で事業仕分けの対象にならなかったのが不思議なくらいだが、そのお金は若い学者達には降りてこないらしい。ある委員会で働いた経験のある若い学者の投稿によると、「学術会議名義で莫大といってよい量の仕事も完全にタダ働きで貢献してきました。」と。その人は学術会議の事を「大学を定年退職した高齢者が、名誉職でやって来る老人会」だと言っている。

右だろうが左だろうが既得権益の上に胡坐をかいて甘い汁を吸いながら威張っている奴は嫌いだという私の持論からすると「10億円の国家予算は、すでに大学に職を得ている教授ではなく、学問的成果を上げたポスドクに支給すべきだ。」という提案に魅力を感じる。

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