2020年10月20日火曜日

衰え

 友人の奥さんの訃報が立て続けに届いた。気付いたら私自身が母の享年を越える歳になってしまっているから、むしろ自然な流れなのだろう。嫌でも肉体精神の衰えが進む。

最初に肉体的衰えを感じたのは四十代の頃だった。息子と一緒に小学校の校庭で父兄を交えたサッカーをやった時だ。相手のゴール前に攻め込んで、味方からセンタリングされた絶好のボールめがけて走り込み右足のインサイドキックで見事ゴールを決めた、筈だったがボールは目の前2メートル位先を通り過ぎて行った。自分が頭の中でイメージしている動きに体がついていかないのを実感した最初の経験だった。

最近は脳や感覚器官の衰えを感じる。先日ある本を読んでいたら「同じ円弧に対する円周角は等しい、なんて美しい定理ですよね」という記述があって、それを証明してみようと思った。ところがこれが簡単に出来ない。なんと色々考えて一晩も掛かってしまった。中学生の頃ならお茶の子さいさいで出来たのに。

耳も悪くなっているのだろうか、日本映画のセリフが聴き取れなくて困る。古い映画なら録音技術の問題もあるかと思うが、最近の映画でもボソボソとつぶやかれると何を言っているのか分からない。ボリュームを上げると、音楽や効果音がやたら大きくてこちらは鼓膜が破れそうだ。日本映画にこそ字幕を付けてくれないだろうかと思っている。

悪あがきかも知れないが衰えを先延ばしする努力はしている積りだ。出来るだけ車に頼らず歩くようにしたり、詰将棋、詰碁を毎日数題こなしたり、ピアノを弾いて脳に刺激を与えたり。そして何よりお酒を控える。最近お酒の量が減ったのは友人と談笑しながら時間を忘れてのお酒がなくなったからだろうか。これだけはコロナのお陰と言うべきか。

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