2021年2月23日火曜日

迷走

 前々回森会長の発言が波紋を「呼んだ」と過去形で書いた時は、それが二週間以上も波紋を「呼び続ける」事になろうとは思いもしなかった。

キーワードも「女性蔑視」から「女性差別」、「透明性」、「ジェンダーフリー」、「ダーバーシティ」、果ては「インクルージョン」なんて言葉も飛び出した。「インクルージョン」とは耳慣れない言葉だが、日本語にすれば「含む事」、つまり除け者を作らない、排除しない、という事だろうか。それを言うのがかつて新政党立ち上げの時「排除します」と高らかに宣言した人なのだから、世の中どう転ぶか分からない。

透明性についてもちょっと変だ。川淵さんが排除されたのは透明性に欠けたからではなく、あまりに透明に全てが表に出てしまったからではないか。森・川淵会談など、従来なら秘密裏に行われた事だろうに。そして結果として「人生最後の大仕事だ」とやる気満々だった人が辞めて「やりたくない」と固辞していた人が選ばれた。どうして?その過程はとても不透明に見える。やる気のある人が手を挙げて、抱負を語り、その候補者の中から組織委員会の人達が彼等のトップとして最適と思う人を選挙で選べば良かった。

透明性を確保するためと称して取られた手続きは地区の自治会の役員選定の手順を思い起こさせた。私の住む街区では籤引きで役員が決まる。籤を引いて1番から順に希望する役職に就く訳だが、出来るだけ負担の軽い役職から埋まっていって最後に会長職が残る仕儀となる。この時公平を期して、いきなり籤を引くのではなく、籤を引く順番を決めるための籤引きが行われる。「透明性」確保のため候補者検討委員会なる良く分からない非公開の組織が出来たのも、なんだか籤を引く順番を決めるための籤引きのように見えた。

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