2022年10月11日火曜日

世襲:トライアングル第787回

 人の意見を聞き、よく検討する事を旨とする岸田総理が今度はどうしたのだろう。ご子息の首相秘書官就任では身内の自民党からも異論が出ているらしい。人の意見を聞いて慎重に事を運ぶ事に根回しは入っていないのか。

国葬の時もそうだった。自民党本部に設けた献花台に長い行列が出来たのを見て国葬の実施を決定したのだそうだが、老練な政治家なら公言する前に派閥の若手の口からでも「国葬」を話題に出し、観測気球を上げて世間の反応を見たりしそうなものだ。

果敢に実行すべき事には熟慮検討し、慎重に事を運ぶべき時に猪突猛進するようなそんな感じがなきにしも非ず。「息子を総理秘書官にして経験を積ませようということ」という観測もあるが、修行なら私設秘書官でやって欲しい。国庫から高額の給与を支払うのは十分な職務遂行能力のある人にして欲しいと納税者の一人として思う。

以下は前回と同じ「北条氏の時代」からの受売りになるが、名執権を出し続けた北条氏も単純な世襲ではなかったそうだ。そもそも義時は一時江間義時を名乗り、時政は牧の方との間に生まれた政範に北条家を継がせるつもりだった。泰時は母の出自が悪く名越朝時が本命視されていたし、時頼は次男で、泰時は長男の経時に帝王学を学ばせた、と言った具合。いずれも名執権は実力でのし上がっている。時宗は苦労もなくなるべくしてなった執権だったが、その暗愚さが元寇を招いたのではないかというのが著者の説だった。賢く対応すれば蒙古襲来はなかったはずだと。

中世でも藤原摂関家への道筋を作った良房、基経の二代は実の親子ではなく、良房が優秀な基経をスカウトして養子にしているし、道長は五男で本来なら目のない立場だった。

安易な世襲は危ないと歴史が言っているような気がする。

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