アキレスと亀から解き始め、非ユークリッド幾何学に言及し、ケインズ経済学からカントールの集合論、最後にはゲーデルの不完全性定理にまで話題が及ぶ。カントールの無限論まではなんとかついていけたが、ゲーデルは流石に骨が折れる。
難しい問題をやさしく解説する技は、著者がかつて塾の講師をしていた時に培われたものなのだろうか。小さな円の中に非ユークリッド幾何学を示してみせた手管には感心した。非ユークリッド幾何学によって小さな円の中が無限の空間に早変わりする。昔の人々は無限に広がる地平と有限な地球の矛盾が理解できなかったが、今では小学生でもそれを理解する。300年後の人類(もしウクライナ発の核戦争などでまだ絶滅していなければの話だが)は無限の宇宙空間が実は有限である事を常識のように理解している事だろう。(2次元の無限は3次元の有限で解決する。だから3次元の無限は4次元の有限で解決するだろう、という予測)
ギリシャ時代のパラドックス「アキレスは亀に追いつけない」をここまで徹底的に考察した本は今まで知らない。
あまりに面白くて、小島寛之著の本をブックオフオンラインで検索し、200円以下のものを全部注文した。全部で12冊になった。
「アキレスが亀を追いかける姿を思い描くとき、筆者にはどうしてもそれが、人間が真理を追いかける姿と二重映しになって見える。やっとそこにあった真理に手が届いたとおもったのもつかの間、もう真理は指先をすり抜けてもう一歩先に行ってしまう。(中略)追うことがアキレスの本性で、逃げることが亀の本性だとでもいうのか。その答えもきっと、一歩前を走る亀が知っているに違いない。」
次の本を読みたくなる気持ちが分かるでしょう?!
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