2023年7月4日火曜日

逆差別

 立場の弱い人達を意識的に優遇するのは是か非か。アメリカの最高裁判所は非だとの判定を下した。

アメリカでは過去に酷い黒人差別をした贖罪意識からか、アファーマティブ・アクション(直訳すれば「肯定的行動」)と言って黒人をはじめとする社会的弱者を優遇し、「結果の平等」を目指して格差を是正しようとする動きがある。大学入試の合否判定にもそれを適用し、家が貧しかったり両親が教育熱心でない家庭に育った子は十分な機会が与えられていなかったのだから優遇すべきだとして、黒人やヒスパニックの合格ラインを下げて一定以上の合格者を確保して来た。それが「法の下の平等」を定めた憲法に違反するとの判断がなされたのだ。

日本に例えるなら国立大学の入試において一定割合を低所得者向けの優先枠を設けるようなものだ。学習塾に通わせるだけの収入がない家庭に育った子にも同じような機会を与えるべきだとして、賛同が得られるだろうか。入試願書に親の年収を記入させるのも物議を呼びそうだし、貧しい家庭の合格者の中からは「そんな枠なんかなくても俺は合格できた」と有難迷惑に思う人も出てきそうだ。

今回敗訴したハーバード大やノースカロライナ大チャペルヒル校では受験者の人種をどうやって判断していたのだろう。名前を見ただけではその人が白人か黒人か判断できまいし、もし願書に人種を書く欄があるとすれば、個人の自由を重んじるアメリカ社会の常識に反するような気もする。面接時にその容姿から判断したのか。それにしても人種のるつぼと言われるアメリカ社会の実情を反映していないように思える。もし大坂なおみがハーバード大を受験したら、彼女は黒人枠なのかアジア系の枠なのかどちらで判定されるのだろうか。

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