2023年12月26日火曜日

この一年

 この一年、皆様にはどんな年だったでしょうか。

世の中では戦争や猛暑、芸能界政界での不祥事等が記録に残るのだろうが、私には身体の経年劣化を実感する年だった。高血圧対策の薬が手放せなくなり、腰痛とそれに起因する右脚の痺れと痛みに悩まされた。医者の見立てによれば椎間板ヘルニアだそうだが、幸いテニス等の運動は支障ないとの事なので週四回のテニスは続ける事が出来た。身体の経年劣化に伴い、お酒の量を控える努力をしているが、テニスが終わってから映画や将棋対局を見ながら飲むビールは格別だ。

で、今年見た映画で印象に残っているものを挙げると「グリーン・ゾーン(2010)」と「ホワイトナイツ/白夜(1985)」になろうか。前者はイラクに大量破壊兵器があるとして攻め込んだ米軍を描いた反戦映画、後者は自由を求めてソ連からアメリカに亡命したバレエダンサーと、逆に商業主義に毒されたアメリカを捨てソ連に亡命したタップダンサーが交流するサスペンス。どちらも自信を持ってお薦めする。

本で印象に残っているのは「死の講義」(橋爪大三郎)と「無限を読みとく数学入門」(小島寛之)の二冊。前者は哲学や宗教が死とどう向き合っているかを解説し、死について考える本。後者は無限をテーマに様々な数学的話題を取り上げているが、アキレスと亀のパラドックスをこれ程真摯に深く考察した本は初めてだった。

無限と言えば、宇宙の無限の果てはどうなっているのだろう。昔の人は無限の先にある地の果てを知らなかったが、今はそれを小学生でも知っている。いつか科学が発達すれば時間軸を超越して宇宙を俯瞰する視点も持てるだろうが、その前に私の生が尽きるのが残念だ。

年明けは九日からお目に掛かります。皆様良い年をお迎え下さい。

2023年12月19日火曜日

Xmas

 街がクリスマスモードになってきた。いたる所に緑や赤の飾り物が見られ、ジングルベルや赤い鼻のトナカイなどの歌が何となくソワソワ・ウキウキした気分にさせる。

バレンタインやハロウィンや、はたまた最近はブラック・フライデーなどと海の向こうからやってきたイベントに国民を挙げて浮かれているのには内心苦々しく思っているが、東洋では長い間商業を蔑視して来たから仕方ないのだろう。花祭りや彼岸やお盆では商売っ気を丸出しにして浮かれ騒ぐ事も出来まいから。

それはさておき、最近クリスマスソングとしてすっかり定着した感があるのが、ジョン・レノンのHappy Xmas (War is over)だ。街中でも良くこの曲が流れている。いかにもジョンの曲らしく、単純だが力強い調べが心に迫ってくる。今年はウクライナやパレスチナで戦争が続き一層この曲が心に響く。

 さあ、クリスマスだ

 ところで君は何をしたの

 一つの年が終わり

 新しい年が始まる

と歌い始め、白人も黒人もアジア系もヒスパニック系もみんなの幸せを願う歌声の後ろにWar is over (戦争は終わりだ)というコーラスが流れる。

ジョン・レノンはベトナム戦争を念頭にこの曲を書いたそうだが、彼の死後も旧ユーゴスラビアの内戦やミャンマーの内戦を始め戦火が止む時がない。人類は一体いつになったら戦争を終わりにするのだろうか。

かつて武士は他者から侮られないために、自らの身体と精神を鍛錬した。今の国は他国から侮られないため、兵器の開発増産にいそしんでいる。そして兵器産業を守るためにわざわざ揉め事を探して戦争しているのではないかとさえ思えて来る。どこかが間違っている。

戦争を終わりにする方法があったら、どうかイエス様教えてください。

2023年12月15日金曜日

イタリア旅行

 2023/12/6から12/13までイタリアへ行ってきました。

イタリアの街は道路がまるで駐車場のよう。縦列駐車の技術がないと住んでいけないみたい。僕にはとてもその技術はないなあ。だって、下に書かれた線を見て愕然。こんな間隔だとタイヤが直角に曲がって車を真横に動かす事ができても前後を誰かに見ていて貰わないと駐車できないと思う。実際にはどうやっているんだろう?



ポンペイの遺跡。遠くにベスビオ火山が見える。この火山の噴火でポンペイの街は7mの火山灰の中に埋まってしまった。東京から見た富士山はもう少し遠いようだが、東京がポンペイの二の舞にならない保証はない。遺跡から出たすぐの所に朝顔が割いていた。季節外れ??



アルベロベッロはクリスマス一色。ある家の屋上に上がらせてもらった。屋根の上はこうなってるんだね。
ローマの自由行動は良かった。「真実の口」では手を持って行かれそうになりました。


ホテルの朝食バイキングでのヨーグルト。賞味期限が20.12.23とある。
          
えっ?!3年前に切れてるじゃん!違うのを持ってきたら今度は30.12.23。
          
ヨーグルトが7年も持つかいな。しかもどちらも12月23日?なんかおかしい。ああ、そうか!この表記はYY.MM.DDではなくDD.MM.YYで表記してあるんだね。








2023年12月12日火曜日

背水の陣

 林真理子さんは大丈夫なのだろうか。私ごときが心配する事ではないかも知れないが、大麻事件が発覚した8月の会見と、つい最近の記者会見の様子を見ているとひと事ながら心配でならない。

彼女が理事長に就任した時には、外部から新風を吹き込み、日大が新しく生まれ変わる事が期待された。しかし二つの会見での林理事長の受け答えは「関係者の皆様には多大なご迷惑をお掛けし・・・」とか「〇〇のためコメントは控えさせて頂きます」などのオンパレードで旧態然としたもの。これでは何のために林さんが理事長に就いたか分からないではないか。何かが変わった!と印象付けるためには、「細かい事は別にして、やっぱり大枠ではそうだよなあ」と周りの人が常識で納得できる明快性こそが必要だったのではないか。

そして何より心配なのは林さんに日大改革の具体的ビジョンが明確にイメージ出来ているかどうか怪しい点だ。先日の会見でも日大新聞の学生の「解決の糸口をどうお考えですか」との質問に対し、ただお詫びの言葉を繰り返すだけで、改革の結果としてどんな姿を目指すのか、そのためにどこからどう手を打っていくのかと言った事は全く聞かれなかった。

当初は周りの人を信頼し、専門家の人達が敷いた路線に従って行く方針で良かったのかも知れない。だが、全ての情報が正確に上がって来る事がない事が分かった8月の時点で覚悟を決めるべきだった。あの時なら「正確な情報が上がって来ないようでは責任を全うできない」と辞任する事も出来たろうが、今となっては全身全霊を懸けて改革に邁進するしかないだろう。いわば背水の陣を敷くしかなさそうだ。

24時間365日の全てを愛する日大に捧げる、くらいの覚悟がないと新たな展望は開けないのではないだろうか。

2023年12月5日火曜日

何もない

 7日間の戦闘休止が終わりまた憎悪と破壊が始まった。


空爆によってコンクリートが瓦礫と化し辺りに粉塵をまき散らす。その粉で髪を真っ白にした少女が大人に抱きかかえられながら泣き叫ぶ。中には粉塵で真っ白になった顔から血を流している幼児もいる。年端も行かない子供ならこの記憶はいつしか消えるのかも知れないが、小学校の高学年にもなれば敵国への憎悪が心に深く刻み込まれるであろう事は想像に難くない。そして彼等が成人になった時、その憎悪がどういう形で行動に現れるのか。ネタニヤフ首相はハマスの殲滅が目標だと言っているが、実際にやっているのは第二のハマス、第三のハマスを育てる事ではないかと思えてならない。

辺り一面瓦礫となった街中を背に、記者が「ここには水も電気もインターネットもありません」という。本当にそれが問題か。水を水道と読み替えれば、その三つは人類にとって百年前はどれもなかったものなのに。

私が物心ついた頃、流石に水道はあったが電気と言えば電燈の事だった。照明以外の電気設備と言えばラジオだけで、しかもその電源は天井からぶら下がった電燈のソケットから取っていた。壁に数か所のコンセントが出来て、何でも電気の力を借りなければ生活できなくなったのはつい最近の事だ。水道についても、母が生前言っていた事だが、人生で一番嬉しかったのは家に水道が付いて、毎朝井戸から水を汲んで台所の水瓶を一杯にする仕事から解放された事だと。それからまだ百年にもならない。

その後現地の人が泣き叫ぶように訴える様子が報道された。「家もない、シェルターも服もない。食べる物も水も何もないんだ」それこそ実際に苦しむ人の声だった。外からやってきて、自分の仕事の不便さに関心が行っている記者の甘さを感じてしまう。