2024年10月1日火曜日

植民地

 自民党の新総裁が決まった日に「知ってはいけない」(矢部宏治著講談社現代新書)という本を読んでしまった。この本、副題は「隠された日本支配の構造」となっていて、戦後の日本政治の問題点をあぶり出している。

その内容をごくかいつまんで言えば「独立はさせてやる。そのかわり、占領中と同じく米軍への軍事支援は続けると約束しろ」という日米の関係、いわば日本が米軍の植民地であるかのような関係が戦後ずっと続いていて、それを問題視する声がむしろアメリカの方から起きている(例えばブッシュ政権下でのライス国務長官の発言)というのだ。

フィリピンですら「米比軍事基地協定」で米軍がフィリピン国内に基地を置いて良いのは次の23か所であると具体的に明記しているのに、日本の場合は「全土基地方式」と言ってどこにでも米軍を「配備」出来る事になっている。イラクですら、アメリカとの協定で「イラクに駐留する米軍が、イラクの国境を越えて周辺国を攻撃することを禁じる」という条文を加えさせたのに、日米安保条約は米軍が日本の国境を越えて自由に軍事行動できる権利を「国内およびその周辺」という言葉の裏に認めている。と言った事例が書かれている。(先程のライス長官の発言を含め、原典を確認して裏を取らないといけませんが、そこまではしていません。しかし、おそらく本当の事でしょう。)

幕末の不平等条約が改正されたのは明治44年だった。来年で戦後80年、サンフランシスコ講和条約からでも74年になろうとしているのに、未だにそうした歪んだ関係を改善しようという動きすらない。朝鮮戦争という休火山が活火山だった頃の名残らしいが、それが死火山になっても改善されないのではないかと不安になる。日本の保守政治家は何をしているのか。

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