さる9月3日はかつての連合国の戦勝記念日だそうで、中国では盛大な軍事パレードが行われた。日本の新聞では「抗日戦争勝利80周年」と報じられたが、中国でも「戦勝記念」という言葉が使われるのかテレビの画面を注視した。
日本では8月15日が「終戦の日」として様々な行事が行われる。本来ならこれは「敗戦記念日」とすべきだろうが、言霊の国・日本ではそんなゲンの悪い言葉は使いたくないらしい。
さて、戦勝、終戦、敗戦と並べると不思議な事に気付く。この中でまともな言葉は敗戦だけではないか、と。誤解しないで頂きたいが、勝ち負けを問題にしている訳ではない。語順が問題なのである。漢語において動詞と名詞を並べる時、名詞が主語ならば名詞を先に、名詞が補語・目的語ならば動詞を先にするのが本来の在り方である。日本では「券売機」などと変な漢語が使われるが、中国では切符売り場には「売票所」と表示されていた。「券売機」などと言うのは「I school to go」と言っているようなものなのだ。
だから、「戦に敗けた」のだから「敗戦」は正しいが、「戦に勝った」なら「勝戦」でなければならないし、「戦が終わった」なら「戦終」でなければならない。
漢語が母国語の中国ならその点はきっちりしている筈だと、目を皿のようにして軍事パレードを見つめたが、残念ながらその証拠を発見する事は出来なかった。その替わりに凄い事が分かった。一糸乱れず行進する兵士の頭の位置が全て同じ高さだったのだ。良くもまああれだけ同じ背丈の人を集めたものだ。若干の身長差は靴底の厚さで調整したのだろうが、それでもせいぜい5㎝程度だろう。同じ日にハバロフスクで行われたパレードでは頭の位置はバラバラだった。
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