2025年9月9日火曜日

戦勝記念日

 さる9月3日はかつての連合国の戦勝記念日だそうで、中国では盛大な軍事パレードが行われた。日本の新聞では「抗日戦争勝利80周年」と報じられたが、中国でも「戦勝記念」という言葉が使われるのかテレビの画面を注視した。

日本では8月15日が「終戦の日」として様々な行事が行われる。本来ならこれは「敗戦記念日」とすべきだろうが、言霊の国・日本ではそんなゲンの悪い言葉は使いたくないらしい。

さて、戦勝、終戦、敗戦と並べると不思議な事に気付く。この中でまともな言葉は敗戦だけではないか、と。誤解しないで頂きたいが、勝ち負けを問題にしている訳ではない。語順が問題なのである。漢語において動詞と名詞を並べる時、名詞が主語ならば名詞を先に、名詞が補語・目的語ならば動詞を先にするのが本来の在り方である。日本では「券売機」などと変な漢語が使われるが、中国では切符売り場には「売票所」と表示されていた。「券売機」などと言うのは「I school to go」と言っているようなものなのだ。

だから、「戦に敗けた」のだから「敗戦」は正しいが、「戦に勝った」なら「勝戦」でなければならないし、「戦が終わった」なら「戦終」でなければならない。

漢語が母国語の中国ならその点はきっちりしている筈だと、目を皿のようにして軍事パレードを見つめたが、残念ながらその証拠を発見する事は出来なかった。その替わりに凄い事が分かった。一糸乱れず行進する兵士の頭の位置が全て同じ高さだったのだ。良くもまああれだけ同じ背丈の人を集めたものだ。若干の身長差は靴底の厚さで調整したのだろうが、それでもせいぜい5㎝程度だろう。同じ日にハバロフスクで行われたパレードでは頭の位置はバラバラだった。

(毎週火曜日掲載を原則としていますが、来週は火曜が休刊日のため水曜掲載となります。よろしくお願いします。)

2025年9月2日火曜日

役員報酬

 3か月程前になるが、日産が退任する社長や役員計4名に対して総額6億4600万円の報酬を支払ったというニュースにはびっくりした。日産の経営不振に何ら対策を打てなかった人達に対し、まるで泥棒に追い銭ではないか。

業界通によると「内田氏は社長として意思決定が遅く、坂本氏は生産担当として過剰生産能力の対策を先送りし、開発担当の中畔氏は売れるクルマを出せなかった。星野氏はブランド戦略の責任者でありながら、日産車のブランド力が低下して値引きしないと売れないブランドになったことに抜本的な対策が打てなかった」とか。実際にデータを見ると内田社長の就任以来販売台数はずっと下がり続けている。報酬を渡すどころか職務怠慢、又は善管注意義務違反で損害賠償を求めたって良いくらいだ。

そう思っていると、7月にはスタバのCEOが従業員の給与の中央値(約220万円)の6666倍の年間報酬(約144億円)を受け取ったというし、8月にはテスラのイーロン・マスクの暫定報酬が4.4兆円だというニュースがあった。暫定というのは株主総会で示された報酬額について裁判所が承認の過程に問題ありとして差し止めた事情があるからだ。年棒4兆円!400で割って100億円だから、毎日100億円使っても使い切れない。恐らく個人の消費としては一生使い切らない金額だろう。(マスク氏は火星に行きたいみたいだから、そのためには多額の費用が必要だろうが、それは企業としての支出だ)

役員報酬は従業員給与の中央値(平均値では底上げにつながらない)の100倍を超えてはならないという法律を作ったらどうだろう。経営者が自分の取り分を増やすためには従業員の給与も上げなくてはいけなくて非常に良い賃上げのインセンティブになると思うのだが。