彼岸が近づくにつれて厳しい残暑も一段落、エアコンの助けを借りずに眠れるようになったのが嬉しい。秋雨前線の南下が北の涼しい空気を運んで来ると思うと、前線に伴う雨ももっと歓迎されても良いが、それでもやっぱり雨の降る日は天気が悪い。
中東のオマーンに在住経験のある友人が「オマーンでは雨が降ると『今日は良い天気ですね』と挨拶を交わすんだよ」と教えてくれた。強烈な日光が降り注ぐ砂漠の地では極くまれに降る雨はまさに恵みの雨、待ちに待った「良い天気」なのだろう。
詳しい統計は知らないが、彼の地で雨が降るのは恐らく年に数回、100日に1回程度だろうか。翻って日本はどうか。こちらも詳細なデータは知らないが、週間天気予報の傘マークの数から推測するに週に一回程度だろうか。5~10日に1回程度ならそんなに迷惑がらなくても良かろうにと思うが、それでも雨の日を悪い天気だと思うのは人間の我が儘の象徴のように思える。
地球を取り巻く環境が大きく変わって、ほぼ毎日雨が降り、10日に一回程度だけ太陽が顔を出すようだったら、人間はどんな挨拶を交わすのだろう。それこそめったにない晴天に「今日は本当に良い天気ですね」と喜びの声を交わすのだろうか。
私の想像では、そうなったら今度は雨の日を良い天気と呼び、晴れの日を悪い天気と思うのではないか。もし毎日雨が降るような気候であったら、人間は雨の日を前提とした生活様式を編み出し、雨が降らないと都合が悪いような日常生活を送っているに違いないからだ。
生物の進化は地球環境を前提とし、それに順応する方向で進んできた。野に咲く花や植物
は雨が降っても、光合成が出来る晴れの日もどちらも「今日は良い天気だなあ」と思っているに違いない。彼等こそ最適解を編み出した生物なのだ。
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