2025年12月23日火曜日

この一年

 国際的にはトランプ米大統領に掻きまわされた年、国内では日経平均株価が5万円を突破した年、個人的にはウィンブルドンのセンターコートで開幕戦を観た年、今年も様々な出会いがあった。例によって映画や本の世界での出会いを記す。

映画ではロンドンへ行く飛行機の中で観た「Touch」というアイスランドの映画が印象に残った。本木雅弘をはじめとする配役や被爆者の悲しみを描くというテーマから、てっきり日本映画だと思っていた。

その他、旧作の映画の中では「ペイ・フォワード」「カラー・パープル(2023年)」「天と地」が良かった。「カラー・パープル」は1985年のスティーヴン・スピルバーグ監督版よりもはるかに良かった。「天と地」ではベトナム戦争の悲劇が描かれる。あの戦争での米兵の苦悩はある意味自業自得とも言えるが、罪のない現地の少女が如何に過酷な運命に翻弄されたか、涙なしには観られない。

本は松岡正剛、川口マーン恵美、永井路子の各氏に魅せられて複数冊読んだ。その他印象に残ったのが「植物は<知性>をもっている」だった。植物の巧妙な生存戦略を学ぶ事は人間の高慢な思い上がりを反省するきっかけにもなる。

きな臭いコメントが飛び交う昨今、最後に「さよなら サイレント・ネイビー」という本に紹介されていたナチスのNO2だったヘルマン・ゲーリングの言葉を書き留めておきたい。政権中枢にいる人達にありがちな「戦争がしてみたい」という欲望に抗うためにも。

「人間集団を攻撃的にするのはいとも簡単である。自分たちが攻撃されている、と思わせれば良いのだ。そうすれば、どんな集団でもただちに攻撃的になる。」

年末年始の掲載予定ですが、30日はお休みし、年明け6日から再開します。皆様良い年をお迎え下さい。

2025年12月16日火曜日

定数減

定数減そんなことより物価高


新聞の投稿欄にこんな川柳が載っていた。なかなか良く出来ている。議員定数の削減と物価高対策、今の国会で取り上げられている二つのテーマを、高市首相の迷答弁「そんなことより」で結んだ。

確かに庶民感覚から言えば、議員の数が若干減ってもそれによる国庫支出の減は僅かだから、それよりは目先の物価高を何とかして欲しい。その物価高対策と言われる政策も、物価を下げる事を目的とするというより家計の支出を補助するためのバラマキで、それが円安を招き、結果更なる物価高につながりそうで甚だ心もとない。

定数削減は何人かの議員が確実に議席を失う訳だから、身を切る事である事は間違いないが、果たしてそれは本当に国民の幸福につながるのだろうか。強いてそのシナリオを考えると、定数が減って競争が激しくなり、議員候補が切磋琢磨し、選挙民の声を良く聞き、政策を勉強し、かくして国会が良くなりましたとさ、となれば良いが。そのためには国民の側もそれなりに立派じゃないといけない訳で、実際にはより特権化した地位に向け票を巡ってよりカネが幅を効かすような事態になりはしないか心配だ。

そもそも議員は選挙民の声を代表する立場にあり、国民からすれば自分等の代表を国会に送るのはある種の権利であると言っても良い。それを削減するのは別の見方をすれば国民の権利を奪う事になりはしないか。参議院では合区と言って、県の代表を送る事すら既に出来なくなっている。

国際機関での表決を見ると、どんな小さな国でも平等に一票が与えられていて、議論の最中には議場にいなかったような国が、議決の時だけやってきて票を投じるような事があるらしい。それもどうかと思うが、間接民主制において代表の在り方はもっと慎重に考えるべきだと思う。

2025年12月9日火曜日

米価

 今朝の新聞に、また米価が最高値を更新したとの記事が載っていた。5㎏で4,335円。これでも農林水産大臣は高くないと仰るが、同じ日のスーパーの折り込みチラシではミカン一箱2.5㎏が1,280円で売られていた。手元にあった富有柿を測ったら200g、確かこれは100円前後で買った筈だから5㎏換算すると2,500円になる。ミカンや柿などの嗜好品より主食のコメの方が高いのはどこかおかしくないか。もし水の値段が酒より高くなったらどうする?!

米価対策を問われて、件の農水大臣は「米価は市場が決めるもの。政府は介入しません。もし洋服の値段が高くなったら政府が介入しますか」と答えたと言うが、この人は全く経済が分かっていない。

コメと服は比べるのも愚かなくらい性格が違う。第一に服は生産も流通も完全に自由な環境で取引が行われているが、コメはそうではない。海外との取引も制限されているし、服が出来過ぎると困るから、反物を作るのを制限しようと減反政策を政府が打ち出したりもしないではないか。

そもそも米価をある程度高く維持したいのは、末端のコメ農家を守るため、ひいては日本の食糧安全保障のため、農業を守る事に主眼があるのではないのか。その事を考えるなら、米価の維持のためコメの減産を目指すのは全くのお門違いというべきだ。これから米作に取り組み、日本の農業を支えて行こうという若者が、先細りの業界に魅力を感じる筈がない。どんどん増産して、より品質の高い製品をより手頃な価格で提供して、日本国内のみならず世界の市場に打って出るような、そんな業界にしなくてはならない筈。

日本のコメを中国の富裕層にも売るべく、トップセールスでもする覚悟で増産を指導するのが農水大臣の務めだと思う。それが出来ないなら早々に大臣を交代して欲しい。

2025年12月2日火曜日

安青錦

 子供の頃は相撲が大好きで、千秋楽の君が代を聞くと、ああ明日からは相撲がなくなるんだなぁと淋しくてたまらなかった。あれから半世紀以上経って、相撲界も色々変わった。

横綱が千秋楽に休場するとか、これより三役の取り組みが負け越し同士の対戦になるとか、いわゆるガチンコの勝負が多くなったという事だろうか。優勝の星も13勝以下になる事も昔はあまりなかったように思う。

久しぶりに相撲を見て、今まで気付かなかった初めての事が色々あった。

一つは力水の事。これより三役の取り組みで最初の二つ共に西側の力士が勝った。通常の取り組みと違って勝ち残りがいないから、結びの一番、東側では誰が力水をつけるのだろうと思って注意して見ていたら、誰かの付け人なのだろうか、着物を着た力士風の人が片肌を脱いだ姿で力水を付けていた。優勝決定戦も誰が力水を付けるのか、今まで考えもしなかったが、この時は法被姿のスタッフが務めていた。

優勝決定戦での呼び出しも驚きだった。一定以上の高い地位にいる力士の対戦の時には呼び出しが力士の名を二回連呼する筈だが、この時は一回しか力士の名を言わない。本取り組みとは違う特別仕様なのか。

そして何より驚いたのは優勝した安青錦の日本語のうまさだった。日本へ来てわずか3年だと言うのに、殆ど母国語のように話していた。アナウンサーの「眼に溢れるものがあったのでは・・・」という曖昧な問い掛けにもしっかり対応していた。「・・ですか」とか明確な文章の形になっていないと、外国語に対応するのは難しいと思うが。

高市総理は何年か米国で働いた経験をお持ちと聞くが、それにしてはあの英語下手くそだ。別に英語が下手だからどうこう言うつもりはないが、安青錦のしっかりした日本語に改めて敬服した次第。