前回に続き催し物からの話題。皇居北の丸公園内の国立公文書館で「JFK-その生涯と遺産」展が開催中である。故ケネディ大統領に係わる写真や遺品などが展示されている。
中でも特に印象が残ったのはキューバ危機に際して弟ロバートが残したメモだった。それは紙の切れ端になぐり書きするかのように
”I now know how Tojo felt when he was ordering Pearl Harbor”と書かれていた。キューバに建設されつつあるミサイル基地をなきものにするためには奇襲を仕掛けるしかなく、予告なしに攻撃するとしたらかつての真珠湾攻撃と同じだなと、東條英機の苦しい胸の内を思い起こしたのだ。
ケネディ大統領の演説の模様を録画したビデオの中に「アメリカ国民に対する公民権についてのテレビおよびラジオ報告」というのがあった。一九六三年アラバマ大学の入学試験に合格した二人の黒人の入学を認めようとしない州知事に対して、入学を認めさせるために州兵まで動員したときの演説だ。大統領は「明らかに入学資格を持ち、たまたま黒人に生まれた二人のアラバマ州民の若者」と言っている。驚いたのはこの「黒人」のところ、「ニグロ」と言っている事だ。
「ニグロ」というのは蔑称の響きがあって最近は「ブラック」とか「アフリカン・アメリカン」と言っている。「夜の大捜査線」という映画は北部の黒人警官がたまたま通りかかった南部の町での殺人事件を解決する話だが、その町の保安官を演じるロッド・スタイガーが時に「ニグロ」と言ったり時に「ブラック」と言ったりする。字幕ではどちらも「黒人」と訳してあるが、場面を見ると明らかに使い分けているのが分かる。この映画は一九六七年製作。人種問題が大きな曲がり角にあった時代なのだ。
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