2015年6月16日火曜日

お洒落

前回の当欄で御紹介した某氏、タップダンスを習いたいと思ったのは、月の明るい夜に赤坂の一ツ木通りをタップを踏みながら歩いたらさぞかし気持ち良いだろうと思ったからだそうだ。恐らくその横には愛する女性がロングスカートの裾をなびかせているイメージも頭の中にあるのだろう。この人、考えることもお洒落だし、やることもお洒落だ。
そもそも「音の個展」をやろうという発想からしてお洒落だし、それを実際にやってしまうのだから。お洒落とは自らの努力によってまわりから格好良いなあと羨ましがられるようなことをする事だろうと思う。いわば文化と教養の所産で、金にあかせて有名ブランド品で身を包んだりするような行為はお洒落の対極にある恥ずかしい事だ。蛮カラなどはお洒落をできない男の開き直りと言って良いのではないだろうか。
「音の個展」では良く知られた曲を彼なりにジャズ風にアレンジしたものや、自作のCDの中からの数曲が披露された。自作のCDは各曲の題名の横に作曲した年代が付記され、その下にその曲に関する想い出が書かれている。中でも私の一番の好みはファンシー・モーメンツと名付けられた曲で、その想い出は以下のように書かれている。なんとお洒落なプロポーズなのだろう。
「その人のために作曲し、手書きの楽譜にし、丸めてまわりにピンクのリボンをかけて、デートの時に手渡した。そしてその人と結婚した。(今その人はこのピンクのリボンと楽譜のことを全く覚えていない)この曲を結婚披露宴のテーマ曲にし、オーケストラ・バックでピアノコンチェルト風に弾いた。披露宴の引き出物はこの曲の出だし四小節の譜面がプリントされたお洒落なグラスのセットだった。」

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