2015年11月3日火曜日

杭打ち工事

横浜のマンションで起きた偽装事件、マスコミはすべて「杭打ち工事」とか「杭を打つ」という表現を当たり前のように使っている。そう、元々杭は「打つ」ものであって「挿し込む」ものではなかった。もし従来どおり杭を打っていたなら今回のような問題は起きなかったのではないだろうか。
かつて杭打ち工事は建築工事の象徴的存在で、「カーン、カーン」と杭を打つ音が空き地に響くといずれその辺りの風景が一変するだろう事を予測させた。だがその音はいつしか騒音公害の代表となり、音のしない工法が開発され今日に到っている。
それでも最後は杭が支持層に達した事を確認するため杭の頭を叩くものだと思っていた。音を嫌うなら上からジャッキで押す方法もある。もし上から加力してまだズブズブ沈み込むような状態だったら、いくらなんでもそこで止める事はしなかっただろう。それとも所定の長さの杭を布設すれば良いという契約だったのか。そうならボーリング調査の不備、設計や契約の瑕疵が問題にされなければならない。いずれにしろ発注者や設計者、元請が出て来て真相を明かすべきだ。
現場管理者が責められるべきは書類の偽装もさることながら、支持力の最終確認を怠った事で、即物的に実態を確認する事より、書類の整合性を重視するのは官僚主義の弊害だ。
姉歯の耐震偽装事件以来、関連法規が強化され管理者が処理しなければならない事務作業が大幅に増えたそうだ。そのため元請の社員が書類作りに忙殺され、本来行うべき現場の巡視に時間が取れないという事態もあるらしい。
今回の事件でまた監視と規制が強化されるのだろう。そして一層管理のための書類が増え、本来の実態管理がおろそかになってしまう事を危惧する。

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