2016年11月29日火曜日

温暖化

急な寒波で東京では初雪が降ったらしい。11月の初雪は54年ぶり、11月の積雪は1875年(明治8年)に気象観測が始まって初めての事だと言う。それを聞いて地球の温暖化の話は本当なのだろうかと思った。寒いから温暖化はないだろうという単純なものではない。温暖化の根拠として出されるデータについての疑念である。
先日もテレビの解説で示されていたが世界の平均気温の変化を表すグラフがある。1850年あたりを起点に徐々に気温が上昇し、特に近年のそれが急である。ホッケーのスティックのような形状から「ホッケースティック曲線」と呼ばれているそうだが、これは本当なのだろうか。
そもそも世界の平均気温って何だ。世界各地の中から代表的な場所を選んでその地の年間平均気温を割り出し、それを全地点でさらに平均したものと考えるのが自然だろう。しかし代表的な場所としてどこを選ぶのかは多分に恣意的な要素が含まれる。暑い場所寒い場所をバランス良く選んで地球全体の状態を正確に代表させることなど本当に出来るのだろうか。
仮にそれが出来たとして、1850年からのデータが集まるのだろうか。一応は先進国である日本だって気象観測が始まったのは1875年からで、それ以前のデータはないはずだ。ましてやアフリカ諸国などどうやって100年以上も前のデータが集められるのだろう。それともアフリカやアマゾン流域など比較的暑い場所は最近になって平均値計算に組み入れられてそれが全体を押し上げていたりしないか。まさかそんな馬鹿な事はないだろうが。
IPCCの学者達が樹木の年輪や植物の生育状態などの傍証から推理た値を用いているのだろうが、誤差も考慮すると眉唾に思えてしまう。こんな事を言うとトランプ氏みたいになってしまうのだが。

2016年11月22日火曜日

韓国大統領

韓国からは連日のように大規模デモの様子が報じられている。何万もの群衆が集まったその状況から判断すると、場所はおそらく景福宮から市庁へつながる世宗路の光化門広場。だとすると群衆を見下ろす大きな立像は李舜臣のものだと思われる。
李舜臣は秀吉による文禄・慶長の役(朝鮮では壬辰倭乱・丁酉再乱)の際に大活躍した武人である。海軍を率いて敵を破り、国を救ったという意味では日本の東郷平八郎にも匹敵する人だと言っていい。だがこの人、壬辰倭乱の際にあげた功績にも拘わらず、丁酉再乱では白衣を着て軍を指揮する羽目になった。白衣は朝鮮では罪人の着るもの。最近では全斗煥・盧泰愚両元大統領が白衣を着て神妙な姿で写っている写真をご覧になった方もいるだろう。ウィキペディアによると李舜臣は壬辰倭乱の後、かつて上司であったが李舜臣の部下になったことを恨んだ元均らの讒言により更迭され一旦は死罪の宣告を受けたらしい。
救国の英雄ですらこの有り様だ。大統領が退任後いつも罪に問われるのも不思議ではないのかも知れない。「投獄しろ」「牢屋につなげ」といった激しい言葉も、北朝鮮がアメリカ帝国主義を批難する時に発する過激な言葉に似て、何か物悲しい気持ちになる。いやしくも一国の大統領である、いくらかの遠慮や敬意はないのだろうか。
韓国の初代大統領は李承晩だった。日本支配下において地下で抗日独立運動を指導した呂運亨や金九が本来選ばれるべきだったが、アメリカの強い意向でキリスト教徒である李承晩が選ばれたとか。李承晩は四捨五入改憲などで大統領権限の拡大に走る。
大統領の親族や友人による権力濫用が大統領権限の強大さに起因しているとすると、これもまた皮肉な運命と言わざるを得ない。

2016年11月15日火曜日

泡沫候補

米大統領選挙はトランプ氏の圧勝に終わった。獲得票数はともかく接戦州のほとんど全てで勝利した結果は圧勝と言っていいだろう。当初共和党大会すら勝ち抜けないだろうと見られた泡沫候補の勝利はただただ驚きの一言に尽きる。
クリントン氏ともトランプ氏とも直接会ったことのない我々はマスコミを通じてしか彼らの実像を知ることが出来ない。マスコミは不偏公平な報道をしているのだろうか。例えばフィリピンのドゥテルテ大統領。彼のオバマ大統領に対する発言が日本語の字幕で「地獄に落ちろ」と紹介されている。だが実際の発言を聞くと「You can go to hell」であって、客観的に訳せば「地獄に落ちたっていいんだよ」という程度の感じではないか。地獄という言葉自体不謹慎だが、日本語の字幕は必要以上に意識的にドゥテルテ大統領への敵意をかきたてようとしているようにも見える。
ある外国人ビジネスマンはネットへ次のように書いている。
「日本のマスコミは米国マスコミ以上に既得権益にしがみづき権力志向なので、米国マスコミ以上に世論作りに熱心なのです。また残念ながら日本のマスコミは日本国民の人の良さを利用してかなりの高い確率で世論操作に成功してきました。だから今回の米国マスコミの成功を信じて止まなかったのでしょう。マスコミと一体になって操作してきた安倍総理もヒラリーと米国マスコミの成功を信じて止まなかったでしょう。」
実際のところはよくわからない。我々にできることはマスコミの評価を盲信するのでなく、事実のみを冷静に見つめることだ。トランプ氏がどんな人か知らないが、女性蔑視の発言をしたことは事実に違いない。それでも米国民はトランプ氏を選んだ。よほどクリントン氏が嫌われていたという事なのだろうか。

2016年11月8日火曜日

三浦九段

将棋ファンならずとも最近三浦九段の名前を耳にされた方は多いのではないか。対局中、不必要に離席が多いとして、スマホソフトで次の一手を考えているのではないかとカンニングの疑いをかけられ年内の対局禁止を言い渡された人だ。
渦中の三浦九段の言い分は「別室で休憩していただけだ」との事。将棋のプロは次の一手を考える際に眼前に盤がある必要はないから(当コラム第二三三回参照)三浦九段の言い分もあながち否定は出来ない。
囲碁は盤面が広いせいか盤なしで全部を頭に入れることはプロでも難しいようだ。持ち時間のルールの違いがそれを物語っている。
プロの試合に於いては次の一手を考える時間に制限がある。それを持ち時間というが、それを使い切ると時間切れ負けになる。ただし考慮時間は一分以下は切り捨てされるため、例えば持ち時間六時間の場合に五時間59分使うと次の一手は常に一分以内に着手しなければならない。トイレに行く時間も考慮時間と同じように時計の針は止まらないが、ここで将棋と囲碁とではルールが違う。
将棋の場合、相手の考慮時間中にトイレに立った場合、相手が着手するとその瞬間に自分の考慮時間のカウントが始まる。だからそこから一分以内に帰って着手しなければ負けになってしまう。囲碁の場合は同様の場合相手が着手しても、自分が席に戻るまでは時計を止めてくれる。自分が着席してからカウントが始まるので安心してトイレに立てるというわけだ。勿論自分の手番の時にトイレに行けば時計の針は止まらないが。
将棋で囲碁と同じルールを適用すると、終盤時間が欲しい時に不必要にトイレに立つ人が出てしまうかららしい。将棋のプロはトイレに行く事にすら気を使わないといけない。三浦事件はその事を思い出させた。

2016年11月1日火曜日

職務規定

松江市下水道局の職員が児童買春をした疑いで逮捕されたとのニュースに出くわした。上司の記者会見を見て驚いた。「改めて職務規定遵守の徹底に努めて参りたいと思います。」のような事を言うのだから。
下水道局の職務規定には「児童買春をしてはいけない」と書いてあるのだろうか。多分、いや間違いなく書いてないだろう。「刑事罰を受けるようなことをしてはいけない」とすら書いてないと思う。規定に書かれることはそれを明記しておかないと組織運営上支障をきたすような事柄だ。
太平天国の乱を起こした洪秀全は次のような軍規を定めたそうだ。
 一)命令に従え
 二)男軍と女軍とを分けよ
 三)いささかも犯すな
 四)協調して指導者のきまりを守れ
 五)力をあわせ、ひるんだり退いたりするな
こうした軍規を定めたところを見ると、命令に従わない者や略奪や暴行をする者や逃亡する者が沢山いて困っていたのだろう、という事が想像される。洪秀全も組織の維持には苦労したようだ。
だからもし職務規定に「児童買春をしてはいけない」なんて書いてあったら、それこそその組織は大変な問題を抱えていることになる。
そもそも五十にもなる大人が犯した犯罪で職場の上司が会見をする事自体いかがなものかと思う。職務上の不注意や不手際で回りに損害を与えたのならともかく、成人個人のプライベートな行動に組織がどこまで責任を問われなければならないのか。会見を求める方も求める方だが、やるのなら仕方ない「大変遺憾に思いますが勤務時間外の個人的行動は各人の責任範囲で行われていると認識しています。」なんて答えたら集中砲火を浴びてしまうのだろうか。