フランス大統領選挙、この稿が紙面に載る頃には結果が判明しているだろう。決選投票に進む二人は誰か。まさか一回の投票で決着することはなかろうが。
極右政党のルペン氏のリードが伝えられる中、終盤になって極左のメランション氏が支持を伸ばしていると伝えられた。極右と極左、本来なら正反対の立場を取るはずの二つの政党がどちらも同じくEUからの離脱を訴えているというところが面白い。ただ、双方の主張を聞くと如何にも右翼と左翼の特徴を良く表している。
右翼と左翼を保守と革新に置き換えて、あい反するものと考えると本質が捉えられないように思う。三五六回の当コラムにも書いたが、右翼と左翼は対立する概念ではなく、世の中の見方や、自分と世の中の関係の捉え方が違うのだと考えた方が良く理解できる。
右翼というのは世の中を縦に切り、身内と部外者の違いを明確にする。トランプ大統領のアメリカ・ファーストなどは右翼的な考え方だし、戦前の日本が自身を神の国だとして他国に対する優位性を主張したのは右翼の典型的な姿と言える。
一方の左翼は世の中を横に切り、恵まれた者とそうでない者に分け、恵まれない者の権利を主張する。共産主義が資本家に対する労働者階級の権利の主張から生まれたのがまさにそれだ。第二次大戦前、持てる国に対して持たざる国との認識の元で日独が連携したのはある意味左翼的な立場だったと思う。ナチスの正式名称は「国家社会主義ドイツ労働者党」だが、右翼だか左翼だかよく分からない名前ではある。
さて、今回のフランス大統領選、極右のルペン氏は「フランスには国境が必要だ」と訴え、極左のメランション氏はEUによってフランスの産業が競争力を失ったとして格差是正を訴える。まさに右翼と左翼の主張なのである。
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