西部邁氏の自殺のニュースには驚いた。数年前までなら遠い人の死としてそれほど驚くこともなかったかも知れない。実は二三年前から同級の青山(旧姓岸)恵子さんと西部氏との対談番組が東京の地方局で流れていて、それをYouTubeで視聴させて頂いていた。新聞で自殺のニュースを知り青山さんに早速メールした。「ショックもあるでしょうが、気落ちしないで下さい」と。青山さんはすぐに返事をくれた。
それによると覚悟の死であったらしい。死の一週間前にも夕食をご一緒され「僕はもうすぐ死にますから」と仰ったとか。奥様に先立たれた心の辛さや身体の痛みとの戦いの中で家族に迷惑を掛けたくないとの思いが強かったようだ。
家族に迷惑を掛けたくないという思いは徹底していて、
川に流されて、遺体が見つからないと大変だからとしっかりと川辺の木に身体を結びつけ、また、顔が傷だらけになると娘さんが嘆くだろうからと、ネックウォーマーを二枚重ねて、顔をかくして川に入られたとか。お別れの会に出席された青山さんによると顔に傷一つなく、穏やかな笑顔のような死に顔だったそうだ。
自殺という死に方は残された家族にとっては耐え難く辛いものかと思うが、西部氏の場合は事前にご家族とも十分話をされ、自分の覚悟や死の意味などについて十分な納得と合意が得られていたのであろう。誠に見事な最期と敬服するしかない。
我が身を振り返ってどんな死に方ができるか、したいか、こんな立派な死に方はできそうもないが、次回のコラムではそれを考えてみたい。
因みに来る六月二日に出雲で青山さんのコンサートが行われるらしい。西部氏も応援されいて周りの人に「みんなでバスツァーでも組んで行きなさい」と仰っていたとか。西部氏の遺志なら私も行かずばなるまい。
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