2019年1月8日火曜日

IWC

明けましておめでとうございます。今年も当新聞・当コラムをご愛顧の程宜しくお願い申し上げます。
年末日本がIWCを脱退するというニュースがあった。私は「よくやった!」と喝さいを上げた。「阿刀田高のサミング・アップ」という新潮文庫の中の「作家の眼・国際捕鯨会議に出席して」を読んでそのひどい実態を知ったからである。シーシェパードなどという団体への嫌悪もある。
アメリカもかつて捕鯨国だった。そもそもペリーが開国を迫ったのも捕鯨船の燃料と食料の補給が目的だった。彼等と日本の違いは、日本が鯨の肉も油も全てを利用するのに対し、彼等は油だけが目的で肉は捨てていた事だ。全てを利用しようとする国と、一部のみの利用で他の大部分を捨ててしまう国とどちらが資源を大切にするだろうか。化学の進歩により鯨油が不要になると彼等は反捕鯨に転じた。この経緯はアメリカ大陸に生存したバイソンを想起させる。ネイティブアメリカンは肉・皮など全てを利用したのに対し、後からやってきた白人は毛皮だけが目的で乱獲し、バイソンは絶滅の危惧に瀕した。その悪夢が彼等の頭にあるのならこう言ってあげよう。日本人は欲に目がくらんで大事な資源を絶滅させ自分の首を絞めるような馬鹿ではない、と。
日本が鯨の種類別の繁殖能力も考慮に入れた捕鯨計画を作成しても、鯨の種類すら知らないような小さな国が、まともに議論にも応じず、挙句の果てには飛行機が間に合わないからと出席もせずに委任状を送って反対に回る、などという事も行われているらしい。
阿刀田氏の文章は三十年も前の話で、団体名も今はIWC(国際捕鯨委員会)となっているので、もしかしたら事態は改善しているかも知れない。もしそうなら是非実態を報じて欲しいものだ。

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