2019年4月2日火曜日

解説


出雲の稲妻・里見香奈女流四冠、NHK杯トーナメント出場おめでとう。女性枠の一つを争う決勝戦は手に汗握る好局だった。西山女王のちょっとしたスキを突く機敏な角打ちで流れをつかんだ里見さんに対し、金桂交換を甘んじて忍んだ西山さんが巻き返し、最後は西山さんの勝ちになったかと思われた局面もあったが、最後の最後に里見さんが得意の終盤力で抜け出した。

こんな事を書けるのも解説の高見叡王の的をついた説明があったればこそである。

将棋・囲碁の番組は解説の巧拙で大きく左右される。勿論対局者の技も大事な要素であろうが、プロの技を素人の視聴者がちゃんと評価吟味出来るかどうかは解説にかかっている。対局者の着手は膨大な読みのほんの氷山の一角に過ぎない。高見叡王はその水面下の氷山の様子を説明してくれた。「この局面で放っておくとこんな手があります。」等と。それを見透かして相手は何らかの対処をするわけだが、受け一方の直接的な対処でなく、他にも狙いを持った間接的な受けをする。事前の説明があるからこそ、間接的な受けの意味も理解できるが、そうでなければどうしてそんな手を指したか理解できない。

終盤詰むや詰まざるやの局面でも高見叡王は「時間があればもっと解説したいんですが」と言っていた。私もその解説を聞きたかった。NHKはこういう事にもっと配慮できないだろうか。

そう言えばここ二十年くらいNHKは将棋の序盤の解説を一切しない(させない?)方針のようだ。良心的な解説者は「ちょっと戻してみましょう」と言ってやってくれるが、たいていの場合駒がぶつかる寸前まで無言の放送になっている。

序盤の解説もして欲しい、と何度も投書でお願いしているが梨の礫の完全無視。NHKは受信者を何だと思っているのか!せめてその理由・意図でも連絡してくれればいいのに。

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