2019年5月7日火曜日

フールプルーフ


数十年前、腕時計の文字盤にはwaterproofという文字があった。今では当たり前の防水性能を示すものだった。英英辞典を見ると「-proof」で「前に書かれたものから損傷を受けない性質を表す」とある。

waterの替わりにfoolつまり「馬鹿」を入れると「馬鹿よけ」とでも言おうか、機械などを設計する際の基本的な考え方の一つで「利用者が操作や取り扱い方を誤っても危険が生じない、あるいは、そもそも誤った操作や危険な使い方ができないような構造や仕掛けを設計段階で組み込むこと。また、そのような仕組みや構造。」(IT用語辞典)を示す。

例えば電子レンジはドアが完全に閉まっていないとスイッチが入らないように出来ているし、ウォッシュレットは人が便座に座っていないと水が出てこない。自動車でもギアがパーキングに入っていないとエンジンが掛からないようになっているが、ブレーキとアクセルの踏み間違いに対する対策が全く出来ていないのは不思議を通り越して義憤さえ感じる。

高齢者によるアクセルの踏み間違いによる事故が報告される度に高齢者の認知能力が問題にされるが、もっと問題にされるべきはアクセルとブレーキが隣合わせにある構造自体であろう。フールプルーフの考えからすれば緊急時に脚を突っ張れば必ずブレーキが作動するような構造にすべきだ。

数年前テレビで某地方都市の鉄工所の社長が考え出した装置が紹介された。既存のアクセルに取り付け、踏み間違いを予防するものだ。右足首を右側に捻るように倒してアクセルを吹かし、脚を突っ張ってもアクセルは動かない。すぐにでも全車に装備すべきではないかと思ったが、その後何の動きもなかった。

フールプルーフは自動車産業の得意技のはず。何とかして欲しい。

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