2019年7月16日火曜日

二千万円

老後の生活を送るのに年金以外に二千万円必要だとの試算が物議を醸した。金融庁の審議会が作った報告書を読んだわけではないが、あの報告書は年金制度を問題にしたものではなく、個人の貯金をもっと投資に誘導したいという目的の元に作られたものだと思った。
それはさておき「高齢世帯の消費額のイメージ」とやらを見てとても不思議に感じた。六十五歳以上の夫婦の場合二十四万千円、単身者の場合十五万三千円の生活費という事だが、その内訳を見ると住居費が夫婦で一万四千円、単身者だと一万九千円とある。あくまで平均値だから何とも言えないが、それにしても単身者の方が夫婦より住居費がかかるという合理的理屈があるだろうか?それに内訳の中に介護保険料とか健康保険料とか固定資産税とかいわゆる租税公課が全く含まれない。個人的な感想では支出の中で重くのしかかっているのは租税公課だというのが実感なのに。それを表に出さないのは日本が重税国家であることを隠すためなのだろうか。
さて金融庁の投資への誘導だが、それはとても危険な誘いだと思う。銀行が熱心に勧める金融商品は銀行は儲かるが預金者は必ずしも儲からないものが多いからだ。例えば仕組預金などがそうだ。為替相場が一定以上高ければ高金利だが、下がったら元本割れの可能性もある、など。この場合銀行は我々の預金を元手に「為替が高くなる」という事に賭ける。具体的にはオプションとか先物取引をする。賭けに勝てば儲かったお金を預金者に少し分けて高金利として払うが、負けた時は全部預金者が負けを負担するという仕組みだ。
コツコツ貯めた大事なお金を二千万円に増やそうとするのは良いが、投資はあくまで賭けである事を忘れてはならない。

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