2020年9月22日火曜日

新総理

 東京新聞に望月衣塑子という記者がいる。菅義偉官房長官には随分嫌われたらしい。彼女をモデルにした映画「新聞記者」では主役の女優が日本国内では見つからず韓国のシム・ウンギョンが務めた。彼女の活動を記録したドキュメンタリー「i新聞記者ドキュメント」には彼女と菅官房長官との間で実際に行われた質疑応答の様子が収録されているが、意固地になる官房長官の狭量を感じてしまった。尤も、記者の方に都合の良い場面を切り取って編集されているのだろうから割引いて考える必要はあろうが。

その菅氏が新総理に就任した。早々の会見を見て期待を大きくした。曰く「悪しき前例主義、既得権益、縦割り行政を打破して規制改革を断行する」そして「国民のために働く内閣にする」と。特に寡占状態にある大手数社が利益を貪っている携帯電話の料金を競争原理の導入で引き下げる、には大いに期待したい。しかし同時に思った。日本で高いのは携帯電話だけに限らない。アメリカで一年半暮らした生活実感からすると、電力料金も高い、水道料金も高い、ビールも高い、ガソリンも高い、自動車の車検費用も高い(ガスチェックとの比較)、そして高速道路料金は滅茶苦茶高い。要するに公共料金や税に関する部分が極めて高い。考えて見れば政府、行政サービスこそ独占企業の最たるものではないか。

確かに選挙という競争はある。が、一番の基本は如何に安価に良質な行政サービスを提供するかを競う事だろう。行政サービスが上がったから増税する、ではあまりに芸がない。消費増税は十年間は行わないそうだが、むしろ知恵と創意工夫を総動員して、携帯料金を引き下げるのと同じように、減税するくらいの勢いで本当に国民のための内閣を作って欲しいものだ。

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