2020年9月8日火曜日

食品ロス

 

幼心に両親がいつも食べ物を粗末にするなと言っていたのを思い出す。父は「どの米一粒も農家の人が一年丹精込めて作ったものだ」と言って茶碗にご飯粒が残っているのを許さなかったし、「ソウケモンを粗末にするのは馬鹿モンだ」が口癖の母は、カボチャの煮物を丁度煮汁が残るか残らないかギリギリの状態に仕上げるのが得意だった。馬鹿と思われたくなくて、豆腐やたまに出て来る刺身を食べる時、醤油が大量に残らないよう用心したものだ。

そんな風にして育ったから、時々テレビで食パンが丸ごと廃棄されたり、おにぎりが包装されたままゴミ箱に入れられたりするのを見ると悲しくてならない。先日のテレビ番組によると日本での食品ロスは年間643万トンに上るそうだ。あまりにも大きな数字でピンと来ないが、人口を約一億人とすると一人当たり約60㎏、毎年一人が10㎏入りの米袋6個を捨てている事になる。昔の人なら米一俵と言った方が分かり易いか。しかもその処理費が二兆円だとか。もし食品ロスを完全になくせば、毎年米一俵と二万円を支給して貰える計算になる。四人家族ならその四倍だ。

しかもこの数字は食べ残しや一旦製品になった後廃棄されたものだけが計上されているのではないか。番組ではどの範囲のものまでを含むのか厳密な定義は示されなかったが、例えばスーパーの野菜売り場でキャベツやレタスの一番外側の葉を客がむしって捨てたものまでは含まないと思う。ああやって無造作に捨てられた葉っぱを、もし先の大戦でガダルカナルやインパールで飢えに苦しんだ兵隊さん達が見たらどう思うだろう。彼等の無念を思うと申し訳なくてどうしても葉っぱの一枚も捨てる気になれない。帰って綺麗に洗って煮たり炒めたりすれば十分美味しく頂けるのだから。

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