2021年3月2日火曜日

映画「東京裁判」

 1983年の製作と言うから、今更の感無きにしも非ずだが「東京裁判」という映画を先日見た。映画と言っても俳優は一人も出ない。東京裁判の実写映像を中心に、ガンジーが先導するインドの独立への運動や、フランスから独立しようとするベトナムの様子など、当時の記録映像を交えたドキュメンタリーだ。5時間近い大作だが見終わるまであっと言う間だった。日本人なら一度は見るべき作品だと思いここにご紹介する次第である。

第二次大戦の時の日本軍の幹部と言えば、日清日露の戦争を戦った時と比べて能力も真摯さも劣るようで毛嫌いしていたが、少し見直さなければいけないと思った。特に東條英機に対して。後ろに座る大川周明がペタッとその禿げ頭を平手打ちする有名なシーンもちゃんと写っていて、その時の東條の反応は怒る訳でもなくにこやかに笑っていた。それより何より彼の真価を感じたのはキーナン検事による証人尋問の時だ。尋問に先立ってキーナン検事は「私はあなたを大将とは呼ばない。何故ならもう日本陸軍は存在しないのだから」と言って、彼を呼ぶときは「トージョー」と呼び捨てにした。しかし尋問が進むうち、いつしかそれが「ミスター・トージョー」に変わっていった。東條の態度に感化された結果なのだろう。「戦争開始の責任を取りますか」との質問にも「当然です」と毅然と答えている。

考えてみれば戦争を始めるなどと言うのは生半可な覚悟で出来るものではない。昨今国会でその場逃れのいい加減な答弁を繰り返す政治家達にそのような覚悟が備わっていると思えない。戦争を始める覚悟がない、というのは喜ばしい事かも知れないが、他国が始めた他国の大義名分のための戦争に巻き込まれない程度の覚悟だけは持っていて欲しいものだ。

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